morimorihogeです。師走で時の流れがはやい。
普段はほぼフルリモート勤務しているのですが、自宅で黙々と作業しているとさっと気分転換して脳内をリセットしたい時がありますよね。
僕はそんなとき、部屋に置いてあるピアノを弾いてみたりすることが多いです。
本記事では今年購入した大物ということで、自宅の電子ピアノ(ハイブリッドピアノ)を買い換えた話をしたいと思います。
ピアノに対するユルい趣味度合い
元々3歳くらいから習い始めて中学・高校くらいまでは一応教室に通っていましたが、全く練習しないで怒られ続ける時期とかもあったため完全に趣味程度のエンジョイ勢です。
特に外で誰かに聴かせる様なことはせず、自分が楽しむために自分が気持ちよく弾ければヨシ、くらいの気持ちでやっています。
ピアノはインドア趣味としてはかなり優れていて、以下の様な利点があると感じています。
- 一人で演奏できる
- 誰かと時間を合わせる必要がないのは他の趣味と比べると抜群にありがたいです
- 気軽に弾く分にはストレス解消になる
- 他の楽器に比べると叩けば音が鳴るというのはとても気軽で良いです
- 一人でかなりの音数を出せるので、ガンガン弾くと気持ちよくてストレス解消になります
- # 一時期両手・足も使うのでボケ防止になるなんて話もありましたが、その辺はどうなんでしょう?
- 演奏できる曲のジャンルが幅広く、楽譜の入手性が良い
- クラシック・ポップス・ジャズ・ゲームミュージック他1つの楽器でなんでもできます
- 楽譜の入手性が比較的高いのも良いです。お金がなくてもクラシックの著作権切れ楽譜などであればIMSLPを漁れば手に入れられますし、Musescore.comなんかでは個人が楽譜を公開していたりします
- 紙にこだわるのであればメジャー所なクラシック全集とかでよければヤフオクやメルカリをウォッチするのが安く手に入るでしょう
- 一方で、クラシックや一部の定番楽譜以外(ゲームミュージックやマイナー曲)はほぼ再版されることが無いので、見つけたときに買わないと二度と手に入らないか、やたらプレミアム値になったりもします。つらい
一方で、本体が場所を取る、高い、完全にゼロから学習する場合、弾きたい曲が弾けるようになるまでが遠い、楽器を持ち歩けないのでちょっと外で披露する機会が極めて少ないなどのデメリットもあるので、必ずしも万人に勧めるというほどのものでもないかなと思います。
結果として自分としてはライフスタイルに非常にマッチしたので習わせてくれた親には感謝ですね。
以前のハイブリッドピアノ(DUP-20)
元々子どもの頃にはヤマハのアップライトピアノがあったのですが、引っ越しタイミングで当時出始めていたハイブリッドピアノヤマハ DUP-20に買い換えました。
このハイブリッドピアノってなんじゃいという話なのですが、言ってしまえば「内部機構を工夫することで限りなく鍵盤のタッチを実機に近づけた電子ピアノ」というものです。
詳細はメーカーによって微妙に定義が異なりますが、ヤマハのハイブリッドピアノは「ハンマーまで物理的な鍵盤の内部機構がある」というのが特徴で、鍵盤タッチだけなら通常のピアノと全く同じなため、元々アップライトピアノを使っていた身としてはアップライトの鍵盤機構がそのまま入っているDUP-20は違和感無く移行できました。
※弦はないので、ハンマーの速度などをセンサーで拾ってMIDIで音を鳴らすという仕組み
参考:ヤマハ ハイブリッドピアノ アバングランド『NU1XA』を発売 のリリース記事より引用
なお、ハンマーまで本体に内蔵されている関係上カタカタという打鍵の振動はあるため、集合住宅で夜にも弾きたいなら振動を抑えるシートくらいは必要です。
このDUP-20、5年~10年くらいでハンマーなり電子回路系が壊れるかなーと思ったのですが、意外や意外20年以上全く不具合なしで使えてしまいました。
一時期年単位で弾かなかった時期は物置にされていたこともあるとはいえ、充分に働いてくれました。ありがたや。
20年以上無故障でがんばってくれたDUP-20さんの引き取り前写真。特に大きな傷もなく、中古良品としてドナドナされていきました(本体価格0円、運び出し手数料0円扱い)。
とにかく壊れなかったDUP-20にも、ちょいちょい不満はありました。
- 音色がそこまで良くない
- 恐らく当時の音源としてはそれなりにがんばっていたのだと思いますが、流石に20年前の技術なので令和になった現代ではMIDIっぽさが否めませんでした
- 特定条件で鳴り方に違和感があった
- 鍵盤タッチで弾き方によっては変な鳴り方をしてしまっていた。特に連打時にセンサー機構の問題かやたらうるさい音が鳴るときがあった
- 当時のハードウェアの限界か、10音くらいを同時に弾くと一瞬遅延することがあった
そんなわけで、何年かおきにやってくるピアノ弾きたいマイブームが来たあたりで「最近の新しい機種ってどうなってるんだろ?」と思うに至るのでした。
AvantGrand N1Xへの買い換え
最近のハイブリッドピアノってどうなん?ということで色々と調べてみたところ、現代ではヤマハ、カワイ、カシオあたりが作っているようでした。
また、最近だと鍵盤~ハンマー機構についてはアップライト機構だけでなくグランドピアノ型のものも出ているようで、この点もなかなか興味をそそられました。
詳細は以下サイトなどを見てもらえばと思いますが、グランドピアノ機構の方が打鍵の返りが良く、連打もしやすいです。
せっかく買い換えるならグランドピアノ機構な奴にしたいな~と思いつつ、いくつかショップに行って試弾させてもらったりしつつ物色していました。
結果、ヤマハのAvantGrand N1Xに決めました。決め手は以下の通りです。
- ハンマーアクションがグランドピアノ機構
- 一つ下のグレードであるNU1XAの方が2023年発売と新しいが、こちらはDUP-20と同じくアップライト機構だったので除外
- 本体サイズがほぼアップライトピアノと同サイズ。DUP-20と大差ない。特に奥行き
- グランドピアノ機構のハンマーは構造上奥行きが必要なのですが、部屋の配置的にあまり奥行きに余裕がありませんでした。DUP-20が奥行き50cm、N1Xは奥行き61cmと10cm程度は大きいですが、これくらいなら許容範囲でした
- 収録されている音とタッチが自分好みだった
- デフォルト音源がコンサートグランドのヤマハCFX、追加音源のベーゼンドルファーインペリアルで音色が好みでした。なお、この2音源を含む5音源についてはVRMというやたらと変態的な技術により弦の共鳴などがかなりリアルな音源を再現されています。なお、その他にもオマケ音源が入ってますがそれらはいわゆるMIDIっぽい音源に留まります
- DUP-20に大きな不満がなかったので、次もヤマハでいいかなという気持ち
- 大きい買い物だと「やっぱり思ったのと違った」となると絶望も大きくなるため無難にヤマハかなあ、という気持ちになりました
なお、お値段はフルスペックのMacBook Proよりは安いけど、ハイスペックなゲーミングPCよりは高い、くらいになりました。コロナで外食が減った分の可処分所得を注ぎ込んだぜ・・・
組み立て中の光景。こんな感じの台座に・・・
本体を載せてペダル等の配線を繋いで完了。業者にやってもらえたので特に苦労はありませんでした。奥行きは概ね+10cmでしたが、高さが低くなったので圧迫感はむしろ下がったかも。
ピアノカバーの自作
ピアノブラックな鏡面加工はきれいなんですが、ホコリが目立ちまくるので僕はピアノカバーを被せて掃除をサボりたい派なのです。というわけで、ピアノカバーをDIYしました。
ちょうど昔のGDQの時に買って持てあましていた薄っぺらいブランケットがあったので、これを雑に寸法測りながらスピーカー部を切り抜いたりして作りました。
N1Xレビュー
ここからはN1Xのレビューをしていきます。購入前にネット上のブログやYoutube等でレビューを探したのですが、あまり多くのレビューが見つからなかったのでそこになかった内容や観点を書ければと思います。
音色・音源(ヤマハCFX、ベーゼンドルファーインペリアル)
文句なしです。DUP-20からの20年の違いを見せつけられました。店頭指弾してたときは周りの音もあってあまり意識していなかったのですが、20年来の買い換えで一番嬉しかったのはここだなと確信できます。
恐らくVRMという機能がかなり優秀で、弦の共鳴やペダルを踏んでいる時の共鳴感、ハーフペダルの響き方まで「それっぽく」聞こえます。かなり実機っぽい(CFX実機を弾いたことはないですが)。
本体スピーカー(6ch)から鳴らしても良い感じの音がしますし、ヘッドホンを使っても良い感じです。ヘッドホン使用時はCFX音源だけより特別なサンプリングをされているようですが、機能をon/offできるわけでもないのでそこまでは聞き分けできませんでした。
N1X取扱説明書 より引用
買い換えてピアノ弾く機会が増えましたが、明らかに音色が気持ちよくなったのは大きいと感じますね。よかった。
鍵盤タッチ感
DUP-20のアップライト機構からグランドピアノ機構になったので明らかにタッチが変わりました。鍵盤の返りが良くなったのはBPMの早い曲を弾いてる時なんかに特に感じますね。こちらも満足しています。
ハンマー機構部分はヤマハのショールームとかに行くと前框(手前部分の前板)が透明板になっているデモ機などがあって中のハンマーの動きまで見ることができますが、通常製品は黒板なので見ることはできません。
鍵盤蓋は簡単に外せるので外してみるとギリギリ鍵盤の根元が見えるくらいですね。
鍵盤そのものの物理的な重さは普通くらいかな?と感じました。激重で疲れるようなものでもないし、超絶軽い鍵盤でもないです。
# やってくれる調律師さんがいるかは謎ですがこの辺はハンマー機構が入っているので物理的には鉛調整できるんですかね?
なお、タッチ感度面での重さは別途アプリで多少設定できます(後述)。
ワイヤレス対応
本体のBluetoothサポートは本体を外部スピーカーとして使うA2DPプロファイルにのみ対応しているので、本体の演奏音をBluetoothワイヤレスヘッドホンで聴くことはできません。本体の音をワイヤレスヘッドホンで聴きたい場合には一度ライン出力した音源をトランスミッタ経由でBluetoothなり独自無線なりに飛ばす必要があります。
ただ、この手の電子楽器のワイヤレススピーカー化は弾いてる時に遅延が気になりまくるのでおすすめはしません(恐らくメーカーもそういう意図で機能を付けていないと思われる)。おとなしく有線ヘッドホンを使うのが無難でしょう
その他、後述するスマホアプリ連携機能をWiFi対応させたい場合、別売りのUD-WL01という専用のワイヤレスLANアダプタを購入して本体手前のUSB端子に刺す必要があります。
ただ、このデバイスはヤマハ公式ストアでも取り寄せ扱いの入荷時期不明でした。マニアック過ぎて数作ってなさそう。
一応ネット通販やメルカリ等を漁ると数は少ないですが見つかるので、すぐに使いたいならそちらで購入するのが現実的でしょう。
スマホ連携アプリ
N1X本体にもボタン式のコントローラーが付いていますが、音色切り替え程度ならともかく、これを使って細かい設定を操作するのは至難です。
そうした細かい各種設定をスマホ操作するにはスマートピアニストというスマホアプリがあり、これをUSB接続、またはWiFi接続して使うことになります(WiFi接続には前述した別売りUD-WL01アダプタが必須)。
スマートピアニストアプリ自体は元々CSPシリーズ(いわゆるクラビノーバ)向けに特化した機能が多く、演奏支援(鍵盤ガイドや自動伴奏、オーディオトゥスコア機能)などの大半の機能はN1Xで利用できません。メトロノームや録音機能くらいは使えますが、基本的には設定用アプリとして認識するのが良いと思います。
まずは音色切り替え機能。これくらいなら本体ボタン操作でも別に困らないですね。
設定項目その1。タッチ感度はUI的にはスライダーが付いていて細かく調整できそうに見えますが、実際にはソフト・ミディアム・ハードの3種類からしか選択できません。上位機種だと細かく調整できるのかも?
設定項目その2。この辺は最初にちょっと好みに合わせて設定したらほとんど変えることはなさそう。鍵盤毎のチューニングはがんばって設定すれば平均律以外の調律も設定できるっぽいですかね。誰かが設定プロファイルを作って配るような仕組みがあるなら試してみたい機能ではありますが、あいにくそんな機能はなく自力で打ち込む気にはならなかったです。
頑張ってみたい人は以下みたいなサイトを参考にすれば良さそう。
#ヤマハさん、こういう変則調律設定作って配ったらある意味付加価値だと思いますが、やらないですかね?(うっすらとした願望)
メトロノーム機能なんかもありますが、そこまで特殊な機能でもないので割愛します。
半年弱くらい使ってみた結果、スマホアプリでの操作は普段はあまり使わず、たまに気分を変えたい時に設定弄ってみたりするくらいになりました。
録音機能とかあるので、ガッツリ練習するぜ!という気概があればもっと使うのかもしれません。
その他、実機ピアノと同じ点や違う点など
ハイブリッドピアノは騒音問題等で実機からの買い換え検討する人が多いと思うので、いくつか思いついたものを捕捉しておきます。
- 前節でも書きましたが、ハンマー機構の物理音はそれなりにするので完全にサイレントというわけではありません。集合住宅で夜に弾くことがあるなら下にカーペットくらいは敷いた方が無難でしょう。もちろん壁からも少し離しましょう
- 電源ONから音が鳴り始めるまで10秒くらい待ち時間がかかります。蓋開けて(または蓋は常時開放で)即弾きたいんじゃーという人は注意
- 譜面台の高さ・配置は本体写真を見て分かる通り概ねグランドピアノと同じです。アップライト型から移行すると楽譜が手元から遠くなります(最初慣れなかったが、グランドピアノ想定の練習をしたいならむしろ良ポイントかも)
- ウナコルダペダル(左のペダル)は実機グランドピアノと違い鍵盤本体はスライドしません。この辺はセンサーで音色を変えるに留めているようです
- 修理周りについては一般の調律師さんではできないので、基本メーカー修理になると思います。5年くらいは大丈夫だと思いますが10年とかを超えるとメーカーから修理を断られることもあるかも?この辺は消耗品と割り切るしかなさそうです
その他、もし購入検討していて聞きたいことのある人がいれば質問してもらえれば素人目線ですが答えられるかもしれません。
総評
今の所充分に満足していますが、お高い買い物なのでどれくらい壊れずに長持ちするかは気になる所です。
流石に5年くらいでは壊れないで欲しい、10年保ってくれると嬉しいな、くらいでしょうか。壊れたら記事を書いて供養しようと思います。
なお、本機種は演奏支援などの機能はほとんどありませんので、もしこれから新たにピアノを買って初心者から始めたいという人はクラビノーバのCSPシリーズあたりの方が自動伴奏などの面白そうな機能があるのでこちらの方がおすすめできそうです。
ハイブリッドピアノのラインはあくまで「実機に限りなく近い電子ピアノ」という感じで割り切った仕様になっていますので「実機ピアノをずっと使ってきたけど引っ越しやライフスタイルの変化で夜も(場合に寄っては日中も)気兼ねなく弾きたいんだよな」という人向けですね。
まとめ
そんなわけで久々に大物を買ったぜレビューでした。リモートワークは自宅でいかに快適に過ごせるかというのが効率に繋がるので、気分転換で休憩時間に楽器をやるのは良い趣味かもしれませんね。
ぱっと見似たような機能がありそうなものとして、UD-BT01というアダプタがありますが、これはワイヤレスMIDIデバイスとしてiOS機器と繋ぐためのアダプタです。iOSのピアノ学習アプリやDTMソフトなどにBluetooth接続してN1XをMIDIデバイスとして使うことはできますが、後述するスマホ連携アプリで利用することはできません(そのはずです)。
なお、N1XをMIDIデバイス(いわゆるMIDIキーボード)として認識させて使いたいだけなら本体向かって左奥下にUSBポートがあるので、特に追加でデバイスを購入せずここにPCなりiPadなりを繋げばMIDIキーボードとして利用することができます。