morimorihogeです。E5は危なげなくクリアしました。3重キラ付け作業が面倒だったくらいで資材的には大したことなかったですね。
ECサイト開発などでは避けては通れないクレジットカード決済対応ですが、ここ数年で急にかなり手数料の安いサービスが出てきました。
具体的には、数年前までであればクレジットカード決済を対応させようとすると初期費用で数万円〜数十万円、月額固定費用で数万円、さらに決済手数料を売上金額の5%前後取られるのが普通だったのですが、最近は3%台や手数料無料のサービスが出てきています。
この記事では日本国内で利用可能なPayPal、WebPay、Yahoo!ウォレットFastPay、SPIKEを比較してみました。
※14/05/26 22:30注:PayPalはアカウント登録しなくても購入できるとの指摘を頂いたので修正しました
※14/05/20 0:56注:WebPayは継続課金対応との指摘を頂いたので修正しました
各社サービス内容比較
まずは各社のサービスを比較してみます。利用料金の比較は後半に別にまとめました。
PayPal
海外では採用事例の多いPayPalですが、国内での普及率は最近増えてきたとはいえまだ今一つの印象です。
ECサイトで利用する場合はビジネスアカウントを開設し、リンク設置型のウェブペイメントスタンダード、API通信型のエクスプレスチェックアウト、サイト埋め込み型のウェブペイメントプラスのいずれかを利用する形となります。それぞれの利用方法については各決済方式のリンクを参照して下さい。
PayPalの基本的な利用料金は以下の通りです(ビジネスアカウントでウェブペイメントプラス以外の利用を想定)。
- 新規開設・維持手数料:無料
- トランザクション手数料:国内3.6% + 40円/回(海外3.9% + 40円/回)
- 引き出し手数料:5万円以上無料(5万円未満 250円/回)
注意点として、2013年6月末からPayPal決済をするには利用者のPayPalアカウント登録が必須になりました。そのため、日本で利用率のそれほど高くないPayPalを決済サービスとして選択した場合、決済段階のPayPal会員登録の段階で顧客が離脱するリスクを考慮する必要があります。
PayPalアカウントオプションサービスを有効にすることで、PayPalアカウントに登録せず決済することができますが、その場合PayPal決済時に毎回住所・電話番号・メールアドレス等の個人情報を入力する必要があります(注: リンク先のサイトは現在ありません)。アカウントオプションサービスを有効にしたとしても結局PayPalに対して個人情報をECサイトとは別途入力する必要があるため、顧客への負担はやや大きいと言えます。
※注:14/05/26 22:30 訂正しました
PayPalのメリット
- 世界的に最大手のため、買収・貸し倒れリスクが低い
- VISA、MASTER、AMEX、JCB、Diners対応
- 継続課金(毎年、毎月課金)対応
PayPalのデメリット
- PayPalにアカウントがない人はPayPalの会員登録
しないと使えないするか、毎回個人情報を入力しないと使えない 注:14/05/24修正
WebPay
WebPayはRESTful APIを提供する開発者に優しい(容易に実装できる)ことを売りにした決済サービスです。この手の決済代行サービスはサービス毎に独自のAPIを持っていることが多い上、API仕様が会員限定公開だったりするためライブラリの利用ができず、parserやエラー処理を自力で書いたりと面倒だったりすることが多くあります。
そんな中WebPayはRESTfulに作られているため、curlでも実装可能なほどシンプルです。XMLデータをこねくり回したりしなくて良いのはうれしいですね。
WantedlyはWebPayを使っているらしく、傾向としては比較的ベンチャー企業での採用が多い様に見えます。
WebPayの利用料金は以下の通りです。
- 新規開設・維持手数料:無料
- トランザクション手数料:VISA/MASTERは3.25%、JCB、AMEX、Dinersは3.4% + 10円/回
- 出金手数料:なし(月末締め翌月末払い)
WebPayのメリット
- 実装コストが低い
- VISA、MASTER、AMEX、JCB、Diners対応
- ユーザはアカウント登録不要
- 継続課金対応※14/05/20 0:56訂正
WebPayのデメリット
継続課金非対応- 比較的新興のサービスのため、今後買収などによって条件が変わる可能性がある
※継続課金には定期課金APIを利用可能です。Twitterにて@keikuboさんからご指摘いただきました。失礼しました。
Yahoo!ウォレットFastPay
WebPayの後を追う形でYahoo!が始めたのがYahoo!ウォレットFastPayです。
サイトやドキュメントを見ると分かりますが、WebPayのYahoo!版だと思えば良いでしょう。
WebPayとの違いとしては、まだサービス開始から間が空いていないためかVISA、MASTERの2ブランドしか利用できないこと、2014年5月9日現在6ヶ月間決済手数料2%引きキャンペーンを行っていることが挙げられるでしょう。
Yahoo!ウォレットFastPayの利用料金は以下の通りです。
- 新規開設・維持手数料:無料
- トランザクション手数料:3.25%(現在先着200名まで6ヶ月間2%引きのキャンペーン中)
- 出金手数料:月一回(月末締め翌月末払い)の場合なし、月2回の場合トランザクション手数料に+0.1%
Yahoo!ウォレットFastPayのメリット
- 実装コストが低い
- Yahooがやっているのでサービスが無くなるリスクは比較的小さい
- ユーザはアカウント登録不要
Yahoo!ウォレットFastPayのデメリット
- 継続課金非対応
- 現時点でVISA、MASTERしか対応していない
- まだ始めたばかりのサービスのため、今後条件が変わる可能性がある
SPIKE
期待の新星SPIKEです。なんと言っても決済手数料が無料という点がシンプルにして最強なところです。
月額固定利用料が無料のフリープランもありますが、こちらは月額決済の上限が100万円という縛りがあるので、本気でECをやるのであれば月額3000円を払ってビジネスプレミアムアカウントを使うことになるでしょう。
SPIKEの利用料金は以下の通りです。
- 新規開設手数料:無料
- トランザクション手数料:月額1,000万円まで無料
- 月額固定費用:3,000円/30日間
- 振込手数料:500円
- 返金(キャンセル)手数料:250円
- チャージバック(カード会社側キャンセル)手数料:1500円
SPIKEの注意として、1取引の最大課金金額は30,000円という縛りがあります。高額商品を扱う場合にはこの縛りに引っかかってしまうので注意しましょう。
SPIKEのメリット
- 手数料が安い
- ユーザはアカウント登録不要
SPIKEのデメリット
- 現時点では継続課金非対応(検討はしているとのこと)
- 現時点でVISA、MASTERしか対応していない
- まだ始めたばかりのサービスのため、今後条件が変わる可能性がある
- 取引辺りの最大課金金額が30,000円と小さい
各社利用手数料比較
次に、各サービスの手数料を比較してみます。
以下に各社別に注文単価を1,000〜100,000円、月間注文数を10〜10,000件にそれぞれ動かしてみた場合の売上手数料、及び売上に占める手数料割合(%)をまとめました(Yahooウォレット!FastPayの両立はWebPayと同じなのでここでは省略しています)。
扱う商品が決まっているのであれば、ここに商品原価率、送料などの別手数料を入れてより具体的な収支見込みを作れるかと思います。
手数料についてはやはりSPIKEが圧倒的に安いことがよく分かりますね。
まとめ
今回はPayPal、WebPay、Yahoo!ウォレットFastPay、SPIKEという主要クレジットカード決済代行会社を比較しました。
これらの決済代行会社はPayPal以外はクレジットカード決済しか対応していないという弱点はありますが、WebMoneyやコンビニ決済を使わないのであれば決済手数料という面から見て非常に有利な選択肢となっています。
口座維持手数料がかからないことは売上額の小さいサービスでは有利ですし、決済手数料が安いことは売上額が高いサービスでより有利になります。
また、PayPalやWebPayなど、APIが一般公開されているサービスの場合は、広くライブラリが流通していることからサイト側の実装コストの面でも魅力ですので、今後検討に挙げてみてもよいのではないでしょうか。
僕も機会があればこれらのサービスを使ってみて、実際の使用感などを確認してみたいです。触る機会があればまたエントリを上げたいと思います。ではでは