スマートフォンやパソコンを長時間使う現代人にとって、眼精疲労はもはや避けられない悩みの一つ。目のかすみ、奥の方がズーンと痛む感覚、肩や首までこわばってくる不快感。こうした症状に心当たりはありませんか?
実は、目の疲れには「ツボ押し」が効果的だと言われています。
東洋医学では、体のさまざまな不調を「経穴(けいけつ)」と呼ばれるポイントを刺激することで改善できると考えられてきました。
この記事では、眼精疲労の症状別に効くツボの場所と正しい押し方、そして根本的な改善につながる生活習慣までを詳しく解説していきます。
あなたの眼精疲労はどれ?症状別ツボマップ
眼精疲労と一口に言っても、その症状は人によってさまざま。
「目がかすむ」「奥が痛い」「乾く」「ピクピクする」など、感じ方は千差万別です。ここでは、症状別に効果的なツボを紹介していきます。自分に当てはまる症状を見つけて、ピンポイントでケアしてみましょう。
ここでは、以下の症状別にツボを紹介します。
- 目のかすみ・焦点が合わない時に効くツボ
- 目の奥の痛み・頭痛を伴う時のツボ
- 充血・目の赤みが気になる時のツボ
- ドライアイ・目の乾きに効果的なツボ
- まぶたの痙攣・ピクピクする時のツボ
- 肩こり・首こりも併発している時のツボ
目のかすみ・焦点が合わない時に効くツボ
出典:南接骨院+鍼灸院
パソコン作業を続けていると、ふと顔を上げた時に遠くがぼんやりして見えることがあります。これは目のピント調節を担う「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉が疲れて凝り固まっている状態。
そんな時に試してほしいのが「睛明(せいめい)」と「攅竹(さんちく)」の2つです。
睛明は、目頭と鼻の付け根の間にあるくぼみに位置しています。目が疲れた時、無意識にこのあたりを指で押さえている人も多いのではないでしょうか。
親指と人差し指で鼻の付け根を挟むようにして、ゆっくりと圧をかけてみてください。
攅竹は、眉頭の内側、骨のくぼみにあるツボ。眉毛の生え際あたりを指で探ると、少しへこんだ部分が見つかるはず。
ここを親指の腹でやさしく押し上げるようにすると、目の周りの血流が促されてかすみが和らぎます。
目の奥の痛み・頭痛を伴う時のツボ
出典:道後はり灸接骨院blog
目の奥がズキズキと痛み、それが頭痛にまで発展してしまう。これは眼精疲労がかなり進行しているサイン。目の周りだけでなく、頭部全体の血流を改善する必要があります。
こうした症状には「太陽(たいよう)」がおすすめ。こめかみのあたり、目尻と眉尻の中間から少し外側にあるくぼみがその場所です。
指の腹で円を描くようにゆっくりと押しながら回すと、頭全体がスッキリする感覚が得られるでしょう。
出典:ハートスマイルマッサージ
また、後頭部にある「天柱(てんちゅう)」も効果的。首の後ろ、髪の生え際あたりで、太い筋肉の外側にあるくぼみを探してみてください。
ここを親指でグーッと押すと、目の奥から首、肩にかけての緊張がほぐれていきます。東洋医学では、目と後頭部は深くつながっていると考えられており、目の疲れを取るには後頭部へのアプローチが欠かせません。
充血・目の赤みが気になる時のツボ
出典:目の疲れを取る方法|眼精疲労の治し方4選(ツボと眼球運動) | 春日部・せんげん台で肩こり・腰痛・産後骨盤矯正が評判の整骨院・整体
目が赤くなるのは、目の表面の血管が拡張している状態。長時間の画面作業やエアコンによる乾燥、睡眠不足などが原因として考えられます。
充血を鎮めたい時は「承泣(しょうきゅう)」を試してみましょう。
瞳の真下、下まぶたの骨の縁にあるツボです。目を閉じて、人差し指の腹でそっと押さえるようにします。
強く押しすぎると眼球に負担がかかるため、「触れている」程度のやさしい圧で十分。血流を整えることで、目の赤みを落ち着かせる効果が期待できます。
あわせて「瞳子髎(どうしりょう)」もおすすめ。目尻から指1本分ほど外側のくぼみに位置しています。ここをやさしく押すと、目の周りの巡りが整い、充血の緩和につながるでしょう。
ドライアイ・目の乾きに効果的なツボ
目がショボショボする、ゴロゴロと異物感がある、まばたきをしても潤いを感じられない。そんなドライアイは現代人に非常に多い症状です。
エアコンの効いたオフィス、画面を見つめることで減るまばたきの回数、コンタクトレンズの使用など、さまざまな要因が重なって起こります。
ドライアイには「魚腰(ぎょよう)」が効果的。眉毛の中央、瞳の真上あたりにあるツボです。眉の上を指で触りながら探ると、わずかにへこんだポイントが見つかります。
ここを指の腹で軽く押し上げるように刺激してみてください。涙の分泌を促し、目の乾燥を和らげる効果があると言われています。
まぶたの痙攣・ピクピクする時のツボ
まぶたが勝手にピクピク動く。この症状は、目の周りの筋肉が過度に緊張している証拠です。睡眠不足やストレス、カフェインの摂りすぎなども原因になります。
まぶたの痙攣には「絲竹空(しちくくう)」が効きます。眉尻の端、骨の小さなくぼみにあるツボです。
人差し指の腹でそっと押さえ、5秒ほどキープしてからゆっくり離す。これを数回繰り返すと、筋肉の緊張がほぐれてピクピクが治まりやすくなります。
目の周りのツボだけでなく、手にある「合谷(ごうこく)」も試してみてください。親指と人差し指の骨が交わる部分の、少し人差し指寄りにあるくぼみが合谷です。
全身の気の巡りを整えるツボとして知られ、目の症状だけでなく、ストレスや緊張の緩和にも役立ちます。
肩こり・首こりも併発している時のツボ
眼精疲労が進むと、目だけでなく首や肩にまで症状が広がることがあります。これは、目を酷使することで無意識に姿勢が前かがみになり、首や肩の筋肉に負担がかかるため。
目の疲れと肩こり・首こりはセットで起こりやすいのです。
こうした複合的な症状には「風池(ふうち)」がおすすめ。後頭部の髪の生え際、天柱よりもさらに外側のくぼみにあります。
両手の親指で左右同時に押し上げるようにすると、首から頭にかけての血流が一気に良くなり、目の疲れと肩こりの両方にアプローチできるでしょう。
また、肩の上部にある「肩井(けんせい)」も効果的。首の付け根と肩先のちょうど中間あたり、押すとズーンと響くポイントです。デスクワークで凝り固まった肩をほぐすことで、目への血流も改善され、視界がクリアになる感覚を得られるはず。
効果を最大化する正しいツボ押しのやり方
ツボの位置がわかっても、押し方が間違っていると効果は半減してしまいます。
「なんとなく押しているけど、本当にこれで合っているの?」と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。ここでは、ツボ押しの効果を最大限に引き出すための正しいやり方を解説していきます。
ここでは、以下のポイントを順に紹介します。
- ツボの正確な位置の見つけ方(痛気持ちいい場所)
- 効果的な押し方:強さ・角度・リズムのコツ
- 1回何秒?何セット?最適な押し時間
- 指の腹 vs 指先 vs ツボ押しグッズの使い分け
ツボの正確な位置の見つけ方(痛気持ちいい場所)
ツボの位置は「だいたいこのあたり」と説明されることが多いですが、実際には人によって微妙にずれがあります。
骨格や筋肉のつき方には個人差があるため、図解通りの場所が必ずしも自分のツボとは限りません。
では、どうやって正確な位置を見つけるのか。
答えは「痛気持ちいい」という感覚を頼りにすること。指で周辺をゆっくり探りながら、押した時に「イタ気持ちいい」と感じるポイントを探してみてください。ズーンと響くような感覚があれば、そこがあなたのツボです。
特に目の周りのツボは繊細なエリアにあるため、焦らず丁寧に探ることが大切。最初は鏡を見ながら、骨のくぼみや筋肉の境目を意識して触れてみましょう。何度か繰り返すうちに、感覚的に「ここだ」とわかるようになってきます。
効果的な押し方や強さ・角度・リズムのコツ
ツボ押しは、ただ強く押せばいいというものではありません。適切な強さ、角度、リズムを意識することで、効果が大きく変わってきます。
強さは「痛気持ちいい」程度が目安。痛みを我慢するほど強く押す必要はなく、心地よさを感じる程度の圧で十分です。
特に目の周りは皮膚が薄くデリケートなので、やさしめの力加減を心がけましょう。
角度は、ツボに対して垂直に圧をかけるのが基本。斜めに押すと力が逃げてしまい、ツボにしっかり届きません。骨のくぼみにあるツボは、そのくぼみに沿って押し込むイメージで。
リズムは、ゆっくりと圧をかけて、ゆっくりと離すのがポイント。
急に押したり離したりすると筋肉が緊張してしまうため、3秒かけて押し、3秒キープ、3秒かけて離す。このくらいのゆったりしたペースが効果的です。呼吸と合わせて、息を吐きながら押し、吸いながら離すとさらにリラックスできます。
最適な押し時間は1回何秒?何セット?
「どのくらいの時間押せばいいの?」というのは、よくある疑問の一つ。結論から言うと、1つのツボにつき3〜5秒の圧を3〜5回繰り返すのが基本です。
1回の刺激時間が短すぎると効果が薄く、逆に長すぎると筋肉や皮膚に負担がかかってしまいます。3秒押して3秒離す、これを1セットとして3〜5セット行うのがちょうどいい加減。
全体の所要時間としては、目の周りのツボを一通り刺激するのに3〜5分程度が目安になります。毎日長時間やる必要はなく、短時間でも継続することが大切。
朝起きた時、仕事の合間、寝る前など、1日に2〜3回のタイミングで行うと、疲れを溜め込まずに済むでしょう。
ただし、同じツボを何十回も繰り返し押したり、何十分も刺激し続けたりするのは逆効果。やりすぎは筋肉を傷める原因になるので、「心地よい」と感じる範囲にとどめておきましょう。
指の腹 vs 指先 vs ツボ押しグッズの使い分け
ツボを押す道具は、自分の指が基本。ただし、指のどの部分を使うか、またはグッズを使うかで、刺激の質が変わってきます。
指の腹は、やわらかく広い範囲を刺激するのに向いています。目の周りのデリケートなツボには、親指や人差し指の腹を使ってやさしく押すのがおすすめ。
圧が分散されるため、痛みを感じにくく、リラックスしながらケアできます。
指先は、ピンポイントで強めの刺激を与えたい時に有効。首や肩のツボなど、筋肉が厚い部分には指先で圧をかけると、しっかりと奥まで届きます。ただし、目の周りに指先を使うのは避けましょう。眼球を傷つけるリスクがあります。
ツボ押しグッズは、指が疲れる場合や、より強い刺激が欲しい時に便利。市販のツボ押し棒やローラーを使えば、手軽に一定の圧をかけられます。ただし、目の周りには硬いグッズは使わないこと。使うなら、首や肩、こめかみなど、骨や筋肉がしっかりしている部位に限定してください。
眼精疲労のツボ押しをするときの注意点
ツボ押しは手軽にできるセルフケアですが、やり方を間違えると逆効果になることも。特に目の周りは皮膚が薄く、眼球という繊細な器官があるため、注意が必要です。
ここでは、安全にツボ押しを行うために知っておきたいポイントを解説します。
以下の注意点を取り上げていきます。
- 目の周りは優しく、首筋はしっかり押す
- 押してはいけないタイミング(食後・飲酒後・妊娠中)
- こんな症状は要注意!すぐ眼科受診すべきサイン
目の周りは優しく、首筋はしっかり押す
ツボ押しの力加減は、場所によって変える必要があります。全身同じ強さで押せばいいわけではありません。
目の周りは、顔の中でも特に皮膚が薄いエリア。その下には眼球があり、強い圧をかけると眼圧が上がったり、毛細血管を傷つけて内出血を起こしたりするリスクがあります。
睛明や承泣、魚腰といった目の周辺のツボは、「触れている」くらいのやさしい圧で十分。指の腹を使って、なでるように刺激するイメージを持ってください。
一方、首筋や肩は筋肉が厚く、しっかり押さないとツボまで刺激が届きません。天柱や風池、肩井といったツボは、親指でグッと押し込んでも大丈夫。
「痛気持ちいい」と感じる強さで、筋肉の奥にあるツボを捉えるようにしましょう。ただし、首の前側(喉のあたり)には大きな血管や神経が通っているため、押すのは首の後ろ側だけに限定してください。
押してはいけないタイミング(食後・飲酒後・妊娠中)
ツボ押しはいつでもできるセルフケアですが、避けた方がいいタイミングがいくつかあります。
食後すぐは控えましょう。食事の後は消化のために血液が胃腸に集まっています。このタイミングでツボ押しをすると、血流のバランスが乱れて消化不良を起こすことも。
食後30分〜1時間は空けるのが理想的です。
飲酒後も避けるべきタイミング。アルコールが入った状態では血管が拡張しており、ツボ押しの刺激が強く出すぎてしまう可能性があります。
また、酔っている状態では力加減がわかりにくく、押しすぎてしまうリスクも。お酒を飲んだ日は、ツボ押しはお休みにしておきましょう。
妊娠中は特に注意が必要です。東洋医学では、特定のツボを刺激すると子宮の収縮を促すと考えられており、妊娠中の女性には禁忌とされるツボがあります。
合谷や肩井などは妊娠中に避けた方がいいとされているため、妊娠している方、または妊娠の可能性がある方は、ツボ押しを行う前に医師や専門家に相談してください。
そのほか、発熱時や炎症を起こしている部位へのツボ押しも控えましょう。体調が悪い時は無理をせず、回復を待ってからケアを再開するのが賢明です。
こんな症状は要注意!すぐ眼科受診すべきサイン
眼精疲労の多くはセルフケアで改善できますが、中にはツボ押しやマッサージでは対処できない症状もあります。以下のような場合は、自己判断で様子を見ずに、早めに眼科を受診してください。
視野の一部が欠けている、または黒い点や光が見える場合。これは網膜剥離や緑内障など、重大な目の病気のサインである可能性があります。
放置すると視力を失うリスクがあるため、すぐに専門医の診察を受けましょう。
急激な視力低下も危険信号。昨日まで見えていたものが急に見えにくくなった場合は、目の奥で何か異常が起きているかもしれません。特に片目だけに症状が出ている場合は要注意です。
強い痛みや吐き気を伴う場合は、急性緑内障発作の可能性があります。眼圧が急上昇している状態で、放置すると数日で失明に至ることも。
頭痛と目の痛みが同時に起こり、吐き気もある場合は、夜間でも救急対応している眼科を探してください。
目の充血が何日も続く場合や、目やにが大量に出る場合は、感染症の可能性が考えられます。ウイルス性や細菌性の結膜炎は、適切な治療を受けないと悪化したり、周囲に感染を広げたりすることがあります。
ツボ押しはあくまで予防や軽度の症状緩和のためのセルフケア。「いつもと違う」「おかしい」と感じたら、迷わず専門家に相談することが大切です。
眼精疲労を根本から改善する5つの習慣
ツボ押しは眼精疲労の緩和に効果的ですが、それだけで根本的な解決にはなりません。日々の生活習慣を見直さなければ、疲れは繰り返しやってきます。
ここでは、ツボ押しと併せて取り入れたい5つの習慣を紹介します。毎日の積み重ねが、疲れにくい目をつくる第一歩です。
以下の5つの習慣を順に見ていきましょう。
- 習慣1. 20-20-20ルールで目を守る
- 習慣2. ホットアイマスク・温冷タオルで血行促進
- 習慣3. 目の周りのストレッチ・眼球運動
- 習慣4. PC・スマホ環境の見直し
- 習慣5. ブルーライトカット対策とまばたきの意識
習慣1. 20-20-20ルールで目を守る
アメリカの眼科学会が推奨している「20-20-20ルール」をご存じでしょうか。
これは、20分ごとに、20フィート(約6メートル)以上離れたものを、20秒間見るという簡単なルールです。
パソコンやスマートフォンを見続けていると、目のピントを調節する毛様体筋がずっと緊張した状態になります。
近くを見る作業が長時間続くと、この筋肉が凝り固まり、眼精疲労の原因に。20分に1回、意識的に遠くを見ることで、筋肉の緊張をリセットできます。
実践のコツは、タイマーやアプリを活用すること。作業に集中していると20分はあっという間に過ぎてしまうため、スマートフォンのタイマーや、パソコンのリマインダー機能で定期的に通知が来るように設定しておきましょう。
窓の外の景色を眺める、部屋の反対側の壁を見るなど、無理のない範囲で取り入れてみてください。
習慣2. ホットアイマスク・温冷タオルで血行促進
目の疲れを感じた時、温めるケアは即効性があります。
目の周りを温めると血管が広がり、血流が促進されて、凝り固まった筋肉がほぐれていくのを感じられるでしょう。
ホットアイマスクは手軽に使える定番アイテム。市販の使い捨てタイプなら、開封するだけで適温になり、10〜15分ほど心地よい温かさが続きます。繰り返し使えるレンジ加熱タイプも経済的でおすすめ。
自宅にあるもので代用するなら、温タオルが便利です。水で濡らしたタオルを軽く絞り、電子レンジで30秒〜1分ほど加熱するだけ。やけどしないよう、温度を確認してから目の上に乗せましょう。
さらに効果を高めたいなら、温冷交互法を試してみてください。温タオルで2〜3分温めた後、冷たいタオルで1分ほど冷やす。これを2〜3回繰り返すと、血管の拡張と収縮が交互に起こり、血流がより活発になります。
寝る前のリラックスタイムに取り入れると、目の疲れだけでなく、睡眠の質も向上するかもしれません。
習慣3. 目の周りのストレッチ・眼球運動
筋肉は使わないと衰え、同じ姿勢を続けると凝り固まります。これは目の周りの筋肉も同じ。意識的に動かすことで、柔軟性を保ち、疲れにくい状態を維持できます。
眼球運動は、目の筋肉をほぐすストレッチのようなもの。
やり方は簡単で、顔を動かさずに目だけで上下左右を見る運動を行います。上を見て3秒、下を見て3秒、右を見て3秒、左を見て3秒。これを2〜3セット繰り返すだけ。
さらに、目をゆっくり時計回りに1周、反時計回りに1周と回す運動も効果的です。
まぶたのストレッチもおすすめ。目をギュッと強く閉じて5秒キープし、その後パッと大きく見開いて5秒キープ。この動作を5回ほど繰り返すと、まぶたの筋肉がほぐれ、血流が良くなります。
これらの運動は、デスクに座ったままでもできるのが魅力。仕事の合間に1〜2分だけでも実践することで、疲れの蓄積を防げるでしょう。
習慣4. PC・スマホ環境の見直し
どれだけセルフケアを頑張っても、目に負担をかける環境で作業し続けていては根本的な改善にはなりません。作業環境を整えることが、眼精疲労予防の土台になります。
画面の明るさは、周囲の明るさと同程度に調整するのが基本。部屋より画面が明るすぎると目が疲れやすくなりますし、暗すぎても見づらくて負担がかかります。
自動調整機能を活用するか、時間帯によって手動で調整する習慣をつけましょう。
画面との距離も重要なポイント。パソコンのモニターは目から50〜70cm程度離すのが理想的です。スマートフォンも、顔に近づけすぎず、30〜40cmは離して見るように意識してください。
画面の位置は、目線よりやや下になるように設置するのがベスト。見上げる姿勢だと目を大きく開くことになり、乾燥しやすくなります。ノートパソコンを使っている場合は、スタンドを使って高さを調整するか、外付けのキーボードを用意すると姿勢が改善されるはずです。
部屋の照明にも気を配りましょう。画面に照明が映り込むと見づらくなり、目を凝らす原因に。デスクライトの角度を調整したり、カーテンで外光を遮ったりして、画面への映り込みを減らす工夫をしてみてください。
習慣5. ブルーライトカット対策とまばたきの意識
パソコンやスマートフォンの画面から発せられるブルーライトは、目の疲れの一因とされています。可視光線の中でもエネルギーが強く、長時間浴び続けると目の負担になるという指摘も。
ブルーライトカットメガネは、手軽にできる対策の一つ。普段メガネをかけない人でも、パソコン作業用として度なしのブルーライトカットメガネを持っておくと便利です。
また、パソコンやスマートフォンの設定でナイトモードやブルーライト軽減モードをオンにするのも効果的。画面が黄色みを帯びた色味に変わり、目への刺激が和らぎます。
もう一つ見落としがちなのがまばたきの回数。通常、人は1分間に15〜20回ほどまばたきをしていますが、画面を凝視していると5回程度にまで減ってしまうと言われています。
まばたきが減ると涙が蒸発しやすくなり、ドライアイの原因に。
「まばたきを増やす」と言われても、無意識の動作を意識するのは難しいもの。
そこで、画面の端に「まばたき」と書いた付箋を貼っておくなど、思い出すきっかけを作る工夫をしてみましょう。気づいた時に意識的にゆっくりまばたきをする。それだけでも、目の乾燥を防ぐ助けになります。
あなたの眼精疲労リスクに合わせたセルフチェックと予防法
「自分の目の疲れは、どの程度深刻なのだろう?」と気になる方も多いのではないでしょうか。眼精疲労は放置すると慢性化しやすく、早めの対策が肝心です。
ここでは、自分の眼精疲労度を把握するためのセルフチェックと、そもそも眼精疲労がなぜ起こるのか、どんな人がなりやすいのかを解説します。自分のリスクを知り、予防に役立ててみてくださいね。
- 【10秒診断】眼精疲労度セルフチェックリスト
- 眼精疲労が起こるメカニズム
- こんな人は要注意!眼精疲労になりやすい生活習慣
- 予防のための職場環境・作業環境の整え方
【10秒診断】眼精疲労度セルフチェックリスト
まずは、今の自分の状態をチェックしてみましょう。以下の項目に当てはまるものがいくつあるか、数えてみてください。
- 夕方になると目がかすむ、ぼやける
- 目の奥が重い、痛い感じがする
- 目が乾いてショボショボする
- 光がまぶしく感じることがある
- 肩こりや首こりが慢性的にある
- 頭痛が頻繁に起こる
- まぶたがピクピクすることがある
- 集中力が続かない、イライラしやすい
- 寝ても目の疲れが取れない
- 1日5時間以上、画面を見ている
0〜2個なら…今のところ大きな問題はなさそうです。ただし、予防のためにツボ押しや生活習慣の見直しを取り入れておくと安心。
3〜5個なら…軽度〜中度の眼精疲労の可能性があります。この記事で紹介したセルフケアを積極的に取り入れて、これ以上悪化しないよう対策を始めましょう。
6〜8個なら…中度〜重度の眼精疲労が疑われます。セルフケアだけでなく、作業環境の見直しや、専門家への相談も検討してみてください。
9〜10個なら…かなり深刻な状態かもしれません。眼科を受診して、目に病気が隠れていないか確認することをおすすめします。
眼精疲労が起こるメカニズム
眼精疲労を効果的に予防するには、なぜ目が疲れるのかを理解しておくことが大切です。
目でものを見る時、カメラのレンズのような役割を果たしているのが「水晶体」という部分。この水晶体の厚みを調節しているのが、周囲にある「毛様体筋」という小さな筋肉です。
近くを見る時は毛様体筋が緊張して水晶体を厚くし、遠くを見る時は緩めて薄くする。この調節を、私たちは無意識のうちに繰り返しています。
問題は、パソコンやスマートフォンなど、近い距離のものを長時間見続ける現代の生活。
近くにピントを合わせ続けることで毛様体筋は常に緊張状態になり、筋肉が凝り固まってしまいます。これが「目が疲れた」「ピントが合いにくい」と感じる原因。
さらに、画面を集中して見ていると、まばたきの回数が減少します。通常は1分間に15〜20回ほどまばたきをしていますが、画面を見ている時は3分の1程度にまで減ってしまうことも。まばたきが減ると涙が十分に行き渡らず、目の表面が乾燥してドライアイを引き起こします。
こうした状態が続くと、目の疲れだけでなく、頭痛や肩こり、吐き気といった全身症状にまで発展。これが「眼精疲労」と呼ばれる状態です。単なる「疲れ目」との違いは、休息や睡眠を取っても症状が回復しにくい点にあります。
こんな人は要注意!眼精疲労になりやすい生活習慣
眼精疲労になりやすいかどうかは、日々の生活習慣によって大きく左右されます。以下のような習慣がある人は、特に注意が必要です。
まず、長時間のデスクワークをしている人。1日8時間以上パソコンに向かっている人は、それだけで目に大きな負担がかかっています。特に、休憩を取らずにぶっ通しで作業する習慣がある人は危険信号。
次に、スマートフォンを寝る直前まで見ている人。
暗い部屋で明るい画面を見ると、瞳孔が開いた状態で強い光が目に入り、負担が増します。さらに、ブルーライトが睡眠ホルモンの分泌を抑え、睡眠の質も低下してしまうという悪循環に。
また、エアコンの効いた室内で過ごす時間が長い人も要注意。
エアコンで室内が乾燥していると、目の表面の涙を蒸発させやすくします。オフィスや自宅でエアコンの風が直接顔に当たる位置にいる人は、ドライアイになりやすい環境にあると言えるでしょう。
そして、睡眠時間が短い人。目の疲れは睡眠中に回復します。慢性的な睡眠不足が続くと、疲れが蓄積して眼精疲労につながりやすくなるため、6〜8時間の睡眠を確保するよう心がけましょう。
予防のための職場環境・作業環境の整え方
眼精疲労を予防するには、個人のセルフケアだけでなく、作業環境そのものを見直すことが重要。
特に職場で長時間過ごす人は、以下のポイントをチェックしてみてください。
| 項目 | 理想的な状態・ポイント | 具体的な対策・コツ |
|---|---|---|
| 高さ調整 | モニターの上端が目の高さと同じか、やや下になる位置。 ※デスクや椅子が合わず見上げる姿勢になると、目が乾きやすくなるのに注意。 |
・椅子の高さを調節する ・モニタースタンドを活用して位置を合わせる |
| 照明 | 天井照明が画面に映り込まず、モニターとの明暗差が少ない状態。 ※暗すぎてモニターだけが光っている状態は避けましょう。 |
・デスクライトは手元を照らしつつ、画面に直接光が当たらない角度にする |
| 窓との位置関係 | 外光がモニターに反射しないよう、窓に対して横向きに座るのが理想。 | ・ブラインドやカーテンで光の量を調整する ・配置を見直し、窓を背にしないようにする |
| 加湿・湿度管理 | 目の乾燥を防ぐため、湿度は40〜60%を目安に保つ。 | ・デスク周辺に加湿器を設置する |
| 休憩 | 眼精疲労や肩こり・腰痛を防ぐため、1〜2時間に1回はデスクを離れる。 | ・窓の外を眺めて目を休める ・軽く体を動かす |
セルフケアで物足りないと感じたら鍼灸治療院という選択肢も
ツボ押しや生活習慣の見直しを続けても、なかなか眼精疲労が改善しない。そんな方は、セルフケア以外の選択肢を検討してみるのも一つの方法です。
眼精疲労は、目の周りだけの問題ではなく、全身の血流やコリ、自律神経のバランスなど、さまざまな要因が絡み合っていることがあります。
「自分でできるケアは一通り試した」「専門家に相談してみたい」という方には、鍼灸治療院に足を運んでみるという選択肢もあります。
鍼灸は、東洋医学に基づいた伝統的な施術方法。飲み薬や塗り薬を使わないため、「薬を長期間使い続けるのは不安」という方にも選びやすいアプローチの一つ。
鍼灸院「ハリのち晴れ」では、頭皮への集中的な施術と全身調整を組み合わせたメニューを提供しています。症状や体質に合わせたオーダーメイドの施術を行っており、一人ひとりの状態を丁寧にヒアリングしたうえで施術プランを組み立てていますので、お困りの方はぜひご相談ください。
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