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Rails: スコープをモデルの外でチェインするのはやめておけ(翻訳)

概要

原著者の許諾を得て翻訳・公開いたします。

日本語タイトルは内容に即したものにしました。

  • 2018/04/18: 初版公開
  • 2023/02/14: 更新

Rails: スコープをモデルの外でチェインするのはやめておけ(翻訳)

Railsアプリで、次のようにモデルのデータベーススキーマの内部にまで立ち入っている(コントローラ)コードをよく見かけます。

class Person < ActiveRecord::Base
  enum gender: { male: 1, female: 2 }
end
class PeopleController < ApplicationController
  def index
    @people = Person.where(gender: Person.genders[:male])
                    .where('age >= 18')
                    .where(right_handed: false)

    respond_to(:html)
  end
end

このコードにはいくつか問題点があります。

  • コントローラがモデルのデータベース構造に関して持っている知識が多すぎます。背後の詳細な情報が上位の層に漏れると、背後の構造を変更しにくくなります。
  • メソッド呼び出しをチェインしているので、モックを使ったテストが死ぬほどやりづらくなります。

このような実装の詳細はモデル内にカプセル化しなければなりません。ActiveRecordのスコープの助けを借りて何とかしてみましょう。

class Person < ActiveRecord::Base
  enum gender: { male: 1, female: 2 }

  scope :male,        -> { where(gender: 1) }
  scope :adult,       -> { where('age >= 18') }
  scope :left_handed, -> { where(right_handed: false) }
end
class PeopleController < ApplicationController
  def index
    @people = Person.male.adult.left_handed

    respond_to(:html)
  end
end

生SQLやモデル属性の知識はモデル内にカプセル化されました。これで一件落着...したのでしょうか?

テストの書きやすさはほんの少しだけましになりましたが、異なるスコープを組み合わせる長いメソッドチェインはまだ残っています。コントローラをテストするには、これまでと同様にモック軍団を出動させなければなりません。

class PeopleControllerTest < ActionController::TestCase
  def test_people_index
    adult_finder        = mock
    left_handed_finder  = mock

    Person.expects(:male).returns(adult_finder)
    adult_finder.expects(:adult).returns(left_handed_finder)
    left_handed_finder.expects(:left_handed)

    get :index
    assert_response :success
  end
end

テストコードはexpectsが多く、しかもかなり脆くなっています。たとえテスト対象コードが正常に動作していても、スコープの順序がどこかで変わればテストは失敗してしまいます。

スコープが複雑になると他にも問題が生じることがあります。スコープはいくらでも自由に組み合わせられますが、その組み合わせから正しいSQLが生成されるとは限りません。その組み合わせを全部テストしていたら心が削られてしまいます。

私は、スコープをモデルの外でチェインするのではなく、スコープの組み合わせをモデル内で単一のスコープやクラスメソッドにまとめるのが好みです。これなら処理を可能な限り内部化できますし、データベースクエリの最適化などの作業もずっとやりやすくなります。

class Person < ActiveRecord::Base
  enum gender: { male: 1, female: 2 }

  scope :male,        -> { where(gender: 1) }
  scope :adult,       -> { where('age >= 18') }
  scope :left_handed, -> { where(right_handed: false) }

  class << self
    def left_handed_male_adults
      left_handed.male.adult
    end
  end
end
class PeopleController < ApplicationController
  def index
    @people = Person.left_handed_male_adults

    respond_to(:html)
  end
end

スコープチェインはPerson.left_handed_male_adultsクラスメソッドの内部にラップされています。必要ならこのクラスメソッド自身をスコープとして定義することも可能な点にご注目ください。2つの方法の大きな違いは、スコープがActiveRecordリレーションを返すことを保証するかどうかです。

スコープの組み合わせはぐっとシンプルになり、しかもテストに対して頑丈になります。

class PeopleControllerTest < ActionController::TestCase
  def test_people_index
    Person.expects(:left_handed_male_adults)

    get :index
    assert_response :success
  end
end

関連するモデルの外でスコープをチェインするのを避ければ、コードベースの癒着も減り、それによってメンテナンスやリファクタリングもやりやすくなります。

もちろんあらゆるスコープはpublicなので、このスコープもその気になればチェインできます。話を複雑にしないために、スコープをモデルの外でチェインしたくなる衝動をこらえてください。

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