Rails API: ActiveRecord::NestedAttributes
(翻訳)
Active RecordAttributes
のネステッド版
ネステッド属性を使うと、関連付けられているレコードに親を介して属性を保存できます。ネステッド属性の更新はデフォルトでは無効になっており、accepts_nested_attributes_for
クラスメソッドで有効にできます。ネステッド属性が有効になると、モデル上に属性ライターメソッドが定義されます。
この属性ライターメソッドは、関連付けに基づいて命名されます。つまり、以下の例ではモデルにauthor_attributes=(attributes)
とpages_attributes=(attributes)
という新しいメソッドが2つ追加されます。
class Book < ActiveRecord::Base
has_one :author
has_many :pages
accepts_nested_attributes_for :author, :pages
end
注: このとき、accepts_nested_attributes_for
の対象となるすべての関連付けで:autosave
オプションが自動的に有効になります。
🔗 関連付けが1対1の場合
以下のMember
モデルがAvatar
を1つ持っている場合を考えます。
class Member < ActiveRecord::Base
has_one :avatar
accepts_nested_attributes_for :avatar
end
1対1関連付けでネステッド属性を有効にすると、以下のようにmemberとavatarを同時に作成できるようになります。
params = { member: { name: 'Jack', avatar_attributes: { icon: 'smiling' } } }
member = Member.create(params[:member])
member.avatar.id # => 2
member.avatar.icon # => 'smiling'
以下のように、member経由でavatarを更新することも可能になります。
params = { member: { avatar_attributes: { id: '2', icon: 'sad' } } }
member.update params[:member]
member.avatar.icon # => 'sad'
idを提供せずに現在のavatarを更新したい場合は、以下のように:update_only
オプションを追加する必要があります。
class Member < ActiveRecord::Base
has_one :avatar
accepts_nested_attributes_for :avatar, update_only: true
end
params = { member: { avatar_attributes: { icon: 'sad' } } }
member.update params[:member]
member.avatar.id # => 2
member.avatar.icon # => 'sad'
デフォルトでできるのは、関連付けられるモデル上の属性を設定・更新することだけです。関連するモデルを属性ハッシュを経由して破棄したい場合は、最初に:allow_destroy
オプションで有効にしておく必要があります。
class Member < ActiveRecord::Base
has_one :avatar
accepts_nested_attributes_for :avatar, allow_destroy: true
end
これで、_destroy
を属性ハッシュに追加すると、その値がtrue
と評価される場合は、関連付けられるモデルが削除されるようになります。
member.avatar_attributes = { id: '2', _destroy: '1' }
member.avatar.marked_for_destruction? # => true
member.save
member.reload.avatar # => nil
ただし、このモデルは親がsave
されるまでは削除されない点にご注意ください。
また、更新されたハッシュ内でそのモデルのidも指定しておかないと、モデルが削除されない点にもご注意ください。
🔗 1対多
以下のMemberモデルを考えてみましょう。このモデルには多数の投稿(posts)があります。
class Member < ActiveRecord::Base
has_many :posts
accepts_nested_attributes_for :posts
end
上のようにすることで、関連付けられているposts上の属性を、そのメンバーの属性ハッシュ経由で設定・更新できるようになります。値として、post属性のハッシュの配列を持つ:posts_attributes
キーを含めてください。
id
を持たない個別のハッシュについては、以下のようにそれぞれ新しいレコードがインスタンス化されます(ただし、true
と評価される_destroy
もハッシュに含まれている場合を除きます)。
params = { member: {
name: 'joe', posts_attributes: [
{ title: 'Kari, the awesome Ruby documentation browser!' },
{ title: 'The egalitarian assumption of the modern citizen' },
{ title: '', _destroy: '1' } # これは無視される
]
}}
member = Member.create(params[:member])
member.posts.length # => 2
member.posts.first.title # => 'Kari, the awesome Ruby documentation browser!'
member.posts.second.title # => 'The egalitarian assumption of the modern citizen'
以下のように:reject_if
にprocを設定することで、条件を満たさない場合に新規レコードハッシュを無視することも可能です。たとえば、上述の例は以下のように書き換えられます。
class Member < ActiveRecord::Base
has_many :posts
accepts_nested_attributes_for :posts, reject_if: proc { |attributes| attributes['title'].blank? }
end
params = { member: {
name: 'joe', posts_attributes: [
{ title: 'Kari, the awesome Ruby documentation browser!' },
{ title: 'The egalitarian assumption of the modern citizen' },
{ title: '' } # :reject_ifのprocによって無視される
]
}}
member = Member.create(params[:member])
member.posts.length # => 2
member.posts.first.title # => 'Kari, the awesome Ruby documentation browser!'
member.posts.second.title # => 'The egalitarian assumption of the modern citizen'
以下のように、利用するメソッドのシンボルも:reject_if
に渡せます。
class Member < ActiveRecord::Base
has_many :posts
accepts_nested_attributes_for :posts, reject_if: :new_record?
end
class Member < ActiveRecord::Base
has_many :posts
accepts_nested_attributes_for :posts, reject_if: :reject_posts
def reject_posts(attributes)
attributes['title'].blank?
end
end
既に関連付けられているレコードと一致するid
キーがハッシュに含まれている場合は、一致するレコードが変更されます。
member.attributes = {
name: 'Joe',
posts_attributes: [
{ id: 1, title: '[UPDATED] An, as of yet, undisclosed awesome Ruby documentation browser!' },
{ id: 2, title: '[UPDATED] other post' }
]
}
member.posts.first.title # => '[UPDATED] An, as of yet, undisclosed awesome Ruby documentation browser!'
member.posts.second.title # => '[UPDATED] other post'
ただし上が適用されるのは、親モデルも更新される場合です。たとえば、「joe」という名前のmember
を作成すると同時にposts
も更新すると、ActiveRecord::RecordNotFound
エラーが発生します。
デフォルトでは、関連付けられるレコードは削除から保護されています。関連付けられるレコードを属性ハッシュ経由で削除したい場合は、最初に:allow_destroy
オプションで削除を有効にしておく必要があります。これによって、以下のように既存のレコードを_destroy
キーでも削除できるようになります。
class Member < ActiveRecord::Base
has_many :posts
accepts_nested_attributes_for :posts, allow_destroy: true
end
params = { member: {
posts_attributes: [{ id: '2', _destroy: '1' }]
}}
member.attributes = params[:member]
member.posts.detect { |p| p.id == 2 }.marked_for_destruction? # => true
member.posts.length # => 2
member.save
member.reload.posts.length # => 1
関連付けられるコレクションのネステッド属性は、(ハッシュの配列の代わりに)ハッシュのハッシュという形で渡すことも可能です。
Member.create(
name: 'joe',
posts_attributes: {
first: { title: 'Foo' },
second: { title: 'Bar' }
}
)
上は以下と同等です。
Member.create(
name: 'joe',
posts_attributes: [
{ title: 'Foo' },
{ title: 'Bar' }
]
)
この場合、:posts_attributes
の値となるハッシュのキーは無視されます。ただし、そうしたキーとして'id'
や:id
を使うことは許されません。もしそうすると、ハッシュが配列にラップされて、単一postの属性ハッシュとして解釈されてしまいます。
関連付けられるコレクションの属性を「ハッシュのハッシュ」形式で渡す方法は、HTTP/HTMLパラメータから生成されるハッシュ(ハッシュの配列を自然な形で送信する方法がない)で利用できます。
🔗 保存
モデルのあらゆる変更(削除マークが付けられたレコードの削除も含む)は、親モデルが保存されると自動的かつアトミックに保存および削除されます。これは、親のsave
メソッドで開始されたトランザクションの内部で発生します。
ActiveRecord::AutosaveAssociation
を参照。
🔗 親モデルの存在をバリデーションする
belongs_to
関連付けは、デフォルトで親モデルの存在をバリデーションします。この振る舞いは、optional: true
を指定することで無効にできます。これは、たとえば親モデルが存在するかどうかのバリデーションを条件付きで行う場合に利用できます。
class Veterinarian < ActiveRecord::Base
has_many :patients, inverse_of: :veterinarian
accepts_nested_attributes_for :patients
end
class Patient < ActiveRecord::Base
belongs_to :veterinarian, inverse_of: :patients, optional: true
validates :veterinarian, presence: true, unless: -> { awaiting_intake }
end
なお、:inverse_of
オプションを指定しない場合は、Active Recordがヒューリスティックに基づいて逆関連付けの自動推測を試みます。
1対1のネステッド関連付けでは、新たな子オブジェクトを自分で(メモリ上に)ビルドしてから代入する場合、以下のように、このモジュールはそれを上書きしません。
class Member < ActiveRecord::Base
has_one :avatar
accepts_nested_attributes_for :avatar
def avatar
super || build_avatar(width: 200)
end
end
member = Member.new
member.avatar_attributes = {icon: 'sad'}
member.avatar.width # => 200
🔗 定数
🔗 REJECT_ALL_BLANK_PROC
# REJECT_ALL_BLANK_PROC
proc { |attributes| attributes.all? { |key, value| key == "_destroy" || value.blank? } }
🔗 publicインスタンスメソッド
🔗 accepts_nested_attributes_for(*attr_names)
指定された1つ以上の関連付けで属性ライターを定義します。
サポートされているオプション:
:allow_destroy
true
を指定すると、_destroy
キーを持ち、かつその値がtrue
に評価される(例: 1、'1'、true、または'true')属性ハッシュのメンバーをすべて削除します。このオプションはデフォルトではオフになっています。:reject_if
- Proc、または特定の属性ハッシュでレコードをビルドすべきかどうかをチェックするメソッドを指す
Symbol
を指定できます。ハッシュは指定のProcまたはメソッドに渡され、Procまたはメソッドはtrue
かfalse
を返す必要があります。:reject_if
が指定されていない場合は、trueと評価される_destroy
値を持たないすべての属性ハッシュについてレコードがビルドされます。Procの代わりに:all_blank
を渡すと、_destroy
の値以外の属性がすべて空白であるレコードを却下するprocを作成します。 :limit
- ネステッド属性で処理可能な、関連付けられるレコードの最大個数を指定できます。この個数は、Procまたはメソッドを指す
Symbol
でも指定可能で、Procまたはメソッドは数値を返す必要があります。ネステッド属性の配列サイズが指定の最大個数を超えると、NestedAttributes::TooManyRecords
例外が発生します。:limit
オプションを省略した場合、任意の個数の関連付けを処理できます。:limit
オプションを適用可能なのは「1対多」関連付けのみである点にご注意ください。 :update_only
- このプションを1対1関連付けで使うと、関連付けられるレコードが既に存在する場合にネステッド属性がどう使われるかを指定できます。一般に、既存のレコードは「新しい属性値セットで更新される」か「それらの値を含むまったく新しいレコードに置き換えられる」かのどちらかになる可能性があります。
:update_only
オプションはデフォルトではfalse
であり、既存のレコードの更新にネステッド属性が使われるのは、ネステッド属性にレコードのid
が含まれている場合だけです。さもなければ、新しいレコードがインスタンス化されて既存のレコードの置き換えに使われます。ただし、:update_only
オプションをtrue
に設定すると、id
が存在するかどうかにかかわらず、レコードの属性更新で常にネステッド属性が使われるようになります。このオプションは、コレクションの関連付けでは無視されます。
例:
# avatar_attributes=を作成する
accepts_nested_attributes_for :avatar, reject_if: proc { |attributes| attributes['name'].blank? }
# avatar_attributes=を作成する
accepts_nested_attributes_for :avatar, reject_if: :all_blank
# avatar_attributes=とposts_attributes=を作成する
accepts_nested_attributes_for :avatar, :posts, allow_destroy: true
概要
MITライセンスに基づいて翻訳・公開いたします。
ActiveRecord::NestedAttributes::ClassMethods