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冬に備えてメインマシンを12900Kにした

皆様暗黒の金曜日はどのように過ごされましたでしょうか。ただのお買い物日記ばかりですみません、今回は在宅勤務用のメインPCをリプレースしました。

きっかけ

これまでのメインマシンは、Ryzen 7 3700X, DDR4-3200 64GB, 1TB*2 SSDでした。メモリは96GBだったのですがおすそ分けして減ってしまいました。

これで日常業務はそれほど困らなかったものの、以下のような課題がありました。

  • もともとこんなにリモート主体になると思っておらず、オフィスに置いてあるPCよりもやや低性能。
    • 特にオフィスのPCはネイティブLinuxなせいか、npm実行に体感できるほど速度差があった。
    • Zoomを起動するときにも一瞬引っかかりを覚えるようになってきた。
  • ROG Flow X13のように、軽量モバイルでベンチに負けるパターンがあり、このままではノートPCを買い換えたときに大変なことになる。
  • AppleがTSMCの力を借りて殴っているのを見ていてもやもやする。

Zen4を待つことも考えたのですが、かなり先になりそうですし、10nm+++改め10nm Enhanced SuperFinことIntel 7でIntelに戻ることにしました。かなりアツいCPUという評判でしたが、PCを暖房代わりにしている勢としては、これからの寒い季節を乗り切るには好都合です。そう思いましょう。

Cinebench R23でM1に余裕のトリプルスコア、M1 ProはもちろんM1 Maxにもダブルスコアで勝てるという余裕は精神衛生上大変好ましいものです。M1 ProとM1 MaxのCPU性能同じじゃないかとか強みはGPUの方だとかそういうのはどうでも良い。ゲームも動画編集も一切やらない人にとっては過度なGPU性能は宝の持ち腐れです。ChromeとVSCodeとZoomが動いてマルチディスプレイできる程度のGPUがあれば良くて、あとはコンパイルが早ければ良いのです。

構築

パーツの選定

当初、せっかくなら数年は最前線で戦えるように、DDR5の128GBメモリで組む予定でした。どうせならSSDも2TB*2くらいに増強したいですね。また、Z690マザーでMicroATXがほとんど見当たりません。PCIスロット何本も使う時代でもないので、MicroATXもっと流行ってもいいと思うんですが、なんかみんなATXかmini-ITXです。ここは良い機会なので、microATX専用だったケースごと買い替えです。

しかし、蓋を開けてみるとDDR5メモリ売ってない...

諦めて、パーツを流用して少しコストを落とした堅実路線に変更です。

  • CPU: Core i9-12900K
    • これが本題なのでここは妥協できません。また3000円しか変わらないならKFは避けようと、在庫あるタイミングでうまく注文できました。
  • CPUクーラー: Fractal Design Celsius S36 Blackout/SP
    • レビューサイトで、360mm水冷がデフォだみたいな雰囲気が出ていたので、今回は空冷は断念しました。
    • 光り物に興味はないので安いものを探しましたが、代理店保証が短い以外は無印と変わらず、1.2万で買えるのは大変お買い得ですね。CPUクーラーに天気を表示して何が嬉しいのか理解できない。
    • なにげに良いのが、専用ソフトの類は一切不要(というかUSBケーブルも刺さない)なことです。CPUクーラーにUSB接続するのが当たり前みたいな風潮は良くないと思います。配線は少ないほうが事故りにくいし、何より変なソフトウェアはなるべく入れたくありません。
    • ファンハブは使わず、ポンプはマザーのポンプ端子に接続し、ファン3つは分岐ケーブルでマザーのCPUファン端子に接続しました。
  • マザー: ASUS TUF GAMING Z690-PLUS D4
    • DDR4対応で、バックプレートが残念じゃなくて、安いもので選びました。
    • できればThunderbolt搭載のマザーが欲しかったのですがDDR4モデルでは存在せず、なんとなくUSB Type-Cが2つあるASUSにしました。
    • 結果的にこれが大正解: ASKにLGA 1700のアップグレードキットを注文したのですが、そんなすぐには届かないようなので、LGA 1200の穴も空いているASUSで助かりました。
  • メモリ: 使い回しのDDR4-3200 64GB
  • グラボ: 使い回しのGeForce GTX 1650
  • 電源: Seasonic FOCUS PX-750S
    • 映えを重視しました。
  • ケース: Fractal Design Define 7 Compact White Solid
    • 一番迷った部分です。デザインが普通すぎて、というか太古のAntec P180を思い出して、なんとなく古臭く見えて好きじゃないのと、誰もが使いすぎて新鮮味がない。
    • ガラスは嫌いですが、Silencio S600, NZXT H710などはデザインが素敵でした。
    • 結局、フロントにUSB Type-Cのポートがあること、360mmラジエーター対応なこと、設置場所に収まることなどの総合的に一番条件が良かったので、消極的に選択しました。

組んでみる

わくわく

夢が詰まっています

数えてないけど1700個あるのだと思います

Noctuaいっぱいつけました、映えます

これ最初の10秒は嬉しいけどその後は邪魔で、皆さんどうしてるんだろう

Define 7 Compactは、さすがよく売れているだけあって非常に組みやすい。天板が取れるのは最高ですね。フロントパネルはCompactじゃない方に比べてつまらないですが、そんなに高くないし良いと思います。

Windows 10での利用

Alder LakeのIntel Thread Directorを使うにはWindows 11にする必要がありますが、現時点でWindows 11を使う気には全くなれません。

  • タスクバーが左に置けない
  • エクスプローラがすぐ固まる(少なくともフォルダオプションでESCキーを押すと必ず固まる)

そこでWindows 10のまま使っていますが、特段重要なタスクがE-Coreに振り分けられて遅いといった問題を体感することはありません。普段遣いのアプリ(ChromeとかZoomとかnodeとかVM内のプロセスとか)はP-Core (HTで増えたのじゃない方)を優先的に使い、カーネルタスクはE-Coreになんとなく割り振られているように見えます。細かいことを言えば違うのかも知れませんが、普段遣いで気にする必要はまったくないと思います。

OS再インストールなしでの移行

マザーもCPUも全部入れ替えですが、環境構築が面倒だったのと退避場所がなかったので、SSDをそのまま使いまわしました。

AMD→Intelへの移行ですが、何の問題もなくそのまま普通に使えました。最近は楽ですね。ドライバを適当に消して入れてすればすぐ使える。

ただ、流石に状態を保存しておいたVMは起動できませんでした。Hyper-Vマネージャーから保存状態を削除して起動すれば普通に動きました。

また、Windowsのライセンス認証は当然やり直しですが、Microsoftアカウントを紐付けておけばこれは簡単です(ローカルアカウントだけを使っている場合は注意)。今回以下のエラーが出て困り果てましたが、

Windowsを再度ライセンス認証することができません。現在、弊社のサーバーが利用できないためです。数分間待機するか、Microsoftアカウントをもう一度追加してみてください。

何のことはない、PCの時計がズレているだけでした。時計を直して無事に通過。

トラブルシューティングと名のつくツールが役立った経験はない

ライセンス条項を守って正しく使いましょう

使ってみる

性能の向上

Cinebench R23で見ました。以前のマシンに比べ、シングル1.6倍、マルチ2.2倍のスコアです。

  • 新PC Core i9-12900K
    • シングル1987, マルチ26372
  • 旧PC Ryzen 7 3700X
    • シングル1247, マルチ11666
  • (参考) 近くにあったRyzen 7 5800X
    • シングル1569, マルチ15107
  • (参考) サブノートPC XPS 13 9300 Core i7-1065G7
    • シングル1138, マルチ2968

もう少し調整すればシングルは2000を超えそうですし、巷のベンチを見ているとマルチ27000くらいは楽勝っぽいのですが、OCの趣味はないし静かに安定して使える範囲で暇があれば調整してみようと思います。アダプタ届いたらグリス塗り直してみるとか。

また、実業務でのベンチマークとして、超教科書のコア部分をビルドするのにかかる時間も測定してみました。多分大半はeslintの時間で、シングルスレッドです。

Measure-Command {npm run build}

結果、旧PCでは62秒かかっていたのが、41秒に短縮されました。これは仕事が捗る!

通常業務

もともと大して遅かったわけではないので、改善を体感できる機会は多くないですが、ブランチ切り替えてdocker buildした結果キャッシュが消えてネイティブビルドやり直しみたいなケースでの待ち時間は減りました。

消費電力と熱と騒音

かなりアツいと評判だったので覚悟していたのですが、普通に使っていると特段意識することはありません。冬で室温が低いのもありますが、放置すると30度くらいにすぐ下がりますし、ベンチを回しても85度くらいです。ベンチを回せば流石にファンの回転数は上がりますが、うるさいという程ではなく、普段はHDDのほうがよほどうるさいくらいの騒音しかなりません。良いことなのですが、暖房代わりとしてはあまり性能向上が見られないという結果でした。

まとめ

ということで、多分新PCのおかげで毎日21秒くらいは仕事が効率化されたと思います。非常に費用対効果の高い投資だと思います。

PCを組もうと思うと、マザーはみんなGamingとついているし、CPUにも World's Best Gaming Processor とか書いてあって、ゲームしない人にとっては肩身が狭いです。ゲーマー以外も見捨てずにいてもらえたら嬉しいです。



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