皆さま、業務や趣味で使っているPCには満足していますか?
仕事がら、新しく入社される方や数年ごとの買い替えのPC選定に関わることがあるので、なんとなく思っていることをポエムしてみたいと思います。
BPSのマシン環境
特に標準機を定めたりはしておらず、Windows/Macやデスクトップ/ノートを含め、可能な限り本人の希望に合わせています。Web開発職が中心なので、PCスペックに対する一般的な要求はこんな感じです。
- CPU
- シングルスレッド性能は高いほど良いが、たくさんのコアを活用するのは並列テストを回すときくらい。
- 8コアもあればそれほど困らない。
- メモリ
- 16GBだとちょっと足りないことがあるので、24GB~32GB程度を目安に。
- SSD
- 1TBあればまあ足りる。
- GPU
- 全然いらない。画面が映れば良い。
- ディスプレイ
- 1~3枚程度を目安に、お好みに応じて。
もちろん担当プロジェクトなどの都合によってはよりスペックを求める人もいます(例えば僕は96GB RAMに3TB SSD)が、あくまで標準的な構成です。
なぜノートPCを選ぶのか
なんとなく数えてみると、9割位の人がノートPCをメインマシンとしていました。なぜでしょうか?
コロナ以前には、自席で作業しつつちょっと会議室で打ち合わせしたり、必要であれば客先で打ち合わせという使い方をしていたことが大きいと思います。会議室に移動するたびに電源シャットダウンは辛いですし、客先にデスクトップPC持ち込みは(やっている人を見たことはありますが)少し勇気がいりますね。
しかし、現在のBPSはフルリモートが中心で年1回も出社しない人が多くなっています。森さんの記事では22%とありましたが僕の体感だと5割くらいそれなんですよね、近い人の印象が強い認知バイアスなのか回答率なのか。 自席でずっと作業するなら、無理にノートPCでなくても良いのでは...?
- ノートPCは持ち運びやすい!
- ずっと自席で仕事する分には持ち運ばない...
- ノートPCは停電に強い!
- 日本で停電ってしないですよね。僕はここ四半世紀くらい停電に遭遇していません。
- ノートPCは場所を取らない!
- 非常に小さいミニPCもWindows/Macともに最近増えています。ディスプレイの裏に取り付けられます。
- 数年に1回くらいは出社するかもしれない!
- PCを買い替えるまでの間に1回あるかもわからない頻度であれば、その時になってから予備機借りたりリモートデスクトップしたりとか手はあるだろうし、1%のために99%の毎日の使用感をわずかでも犠牲にするのはもったいないような気がします。
- ミニPCは持ち運びが容易なので、それも選択肢になりそうです。
- デスクトップPCという選択肢を知らない
- ひょっとしてこういう人が意外にいるのかな...というのが、こんなポエムを書いてみたきっかけです。
逆に、年数回でもたまに外で仕事するのが確実という人には、引き続きノートPCが良い選択肢になると思います。
デスクトップPCは、使いやすい
お気に入りのディスプレイ・キーボード・マウスを使える
「ディスプレイは3枚欲しいなあ」「やっぱりキーボードはREALFORCE」「Slimblade Trackball最高」といった、作業効率に直結する入出力デバイスを好きに選択できます。また、これらはたいていPC本体よりも寿命が長いので、効率よく使い回せます。
たまに、ノートPCを閉じたクラムシェルで外部ディスプレイ・キーボードを繋いで使っている方がいるのですが、それってノートPC型をしている必要あります...?
冷却が有利で基本性能が高い
ノートPCは電源と冷却の制限が厳しいので、瞬間最大風速的なベンチマークは良くても、長時間CPUをぶん回す用途では性能の差が大きくなります。
昔ほど大きな差はなくなっており、メモリの帯域に限ればもはやLPDDR5Xを使えるノートPCのほうが有利ですが、それでも長時間CPUパワーを食うような用途ではデスクトップPCのほうが有利です。
タスクマネージャを見て悦に浸るのはデスクトップPCでしかできません。
ノートPC用のコンポーネントでできているミニPCでも、冷却の差で性能が高くなることは多く、またパームレストが熱くなって不快な思いをすることもありません。
その他、AIやるときとかはゴツいグラボ積めるのは大型デスクトップPCの特権ですね。自宅のネット回線を10Gbpsにした人も、安価に10GbE NICを刺せるのは大きなメリットです(ノートPCで使える10GbE NICは超高いし、WiFiは安定性の面で有線には勝てない)。最高性能を追求できることにロマンがあります。
パーツ交換が容易
Windowsの自作PCや大きめのPC限定になってしまいますが、壊れたりスペックが足りなくなっても、その部分だけ交換できます。メモリ32GBじゃ思ったより足りなかったから増設しよう、とか、気が変わってAIやりたくなったからグラボ足そう、とかがお気軽にできるのは安心感が違います。
デスクトップPCは、安い
これが最重要です。というより一部のノートPCが高いのです。
Mac
まずは僕の嫌いなMacから見ていきましょう。CPUの後ろの数字はCPUコア数/GPUコア数です。
24GB / 1TB | 32GB / 1TB | 48GB / 1TB | |
---|---|---|---|
Mac mini M4 10/10 | 184,800 | 214,800 | - |
Mac mini M4 Pro 14/20 | 278,800 | - | 338,800 |
iMac M4 10/10 | 324,800 | 354,800 | - |
MacBook Pro 14 M4 10/10 | 308,800 | 338,800 | |
MacBook Pro 14 M4 Pro 14/20 | 398,800 | - | 458,800 |
MacBook Pro 16 M4 Pro 14/20 | 428,800 | - | 488,800 |
以下のことがわかります。
- Mac miniとMacBook Pro 14インチでは、同じスペックで12~12.4万円高くなり、16インチはさらに3万円程度高くなる。
- iMacはMac miniより14万円高く、MacBook Pro 14インチより1.6万円高い。
SSDを1TB→2TBにすると6万円アップする信者価格は相変わらずです。
ずっと思っているのですが、ノート型であることに、12万円の価値は本当にありますか?
これがYESなら、何も問題ありませんが、12万出して手に入るのが、ペナペナキーボードと小さいディスプレイ。ディスプレイの色は良いけど開発用途ではオーバースペック。音が良いと言っても今どきみんなイヤホン使うでしょう(またはピュアオーディオを繋ぐ)。僕なら差額で大きいディスプレイと良いキーボードが欲しいと思います。何ならサブで安いWindowsノートPCを買ってもお釣りが来ます!
ちなみに、iMacはデスクトップと呼ぶのかわかりませんが、逆に高すぎました。どうもMacはディスプレイがでかいほど高いらしい。
12万円あったら...
- 32インチ4Kモニター: 5万円
- そこそこのモデルでも、14インチのノートPCディスプレイとは作業効率が雲泥の差です
- REALFROCE R3: 3.7万円
- 最高のキーボードです
- Slimblade Trackball: 1万円
- 最高のトラックボールです
- Logicool C270n: 3000円
- 会議するならこんなもので十分でしょう
ケーブル類を買い足してもお釣りが来ますので、これらはPC買い替え後も使い回せます。
Windows
適当に良さそうなものをいくつか見てみましょう。Macと違ってセールで値段がコロコロ変わるのであくまで目安です。
ノートPCの代表選手としては、以下の3つに登場してもらいます。
- DELL Inspiron: ノートなら何でも良い(安い)派
- Lenovo ThinkPad X1 Carbon: 性能よりも薄くて軽くてかっこいいのが欲しい派
- ASUS ZenBook: 性能と薄さ軽さを両立したいけどコスパも求める派
Surfaceは比較するにも高すぎるので除外。
デスクトップは、安心感のあるドスパラと、流行りのコスパ重視ミニPCから定番MINISFORUMが参戦です。
DELL Inspiron 14 5440
Core 7 150U / 32GB RAM / 1TB SSDで、12万円ちょっとでした。とても安いですが、CPUがTDP 15Wで性能は少し心もとないですね。ディスプレイやキーボードも必要最低限のものです。
ThinkPad X1 Carbon Gen 12
Core 7 155U / 32GB RAM / 1TB SSDで、27万円ちょっとでした。高すぎますね。性能は12万円のInspironとほとんど変わりません。この構成を買うくらいなら、性能ほとんど変わらないけど3万円安くなるCore 5 125Uのほうが良いと思います。
ASUS ZenBook 14 OLED UX3405MA
Core Ultra 9 185H / 32GB RAM / 1TB SSDで、20万円くらい(さらにセールで2万円引き)でした。おかしいな半年前に買ったときは30万円だったのに。ASUSはたまにわけのわからない値下げをしますので、欲しい時ではなく安いときに買いましょう。
ドスパラ Magnate GE
Core i7-14700, 32GB RAM, 1TB SSDで15万円でした。
さらに良いことに、64GB RAM, 2TB SSDに増やしても18.5万円に収まります。
MINISFORUM
最新世代CPUにこだわるとそれなりですが、1世代前がべらぼうに安く、スペックを盛ってもあまり値段上がりません。ブラックフライデーセール価格が混じっていますが、どうせいつでもセールやっています。
- Core i9-13900H, 32GB RAM, 1TB SSDで13万円弱
- Core i9-12900HK, 32GB RAM, 1TB SSDで7.5万円
- Ryzen 9 8945HS, 64GB RAM, 1TB SSDで13万円弱
- Ryzen AI 9 HX 370, 32GB RAM, 1TB SSDで16万円
GMTekなどならもっと安いですね。相変わらず中華ミニPCは原価どうなってるのか謎です。
こうしてみると、WindowsではこだわらなければノートPCも十分安いですが、筐体にこだわったり高性能を要求すると途端にコスパが落ちる傾向が見えます。デスクトップPCは、ミドルレンジクラスまではミニPCが極端に安く、64GB RAMやグラボ搭載など高性能モデルではBTOメーカーの強みが出てきました。
終わりに
世間の多数派はノートPCでしょうし、ノートはダメだみんなでデスクトップを使おう!とはもちろん思っていません。おそらく引き続き7割方の人にはノートPCが最適解になると思います。また、必ずしもどちらかに決める必要もなく、2台持ちだってありえます。
これまで候補に挙げていなかった人に、こういう選択肢もあるんだよと一考してもらえると嬉しいです。絶滅危惧種になりそうですが一緒に自作沼に入りましょう。
同じことはゲーミングノートPCの流行にも言いたい。あの小さいサイズでディスプレイの画質とかスピーカーの音質とかくだらないことをやっていないで、でかいディスプレイと大きなスピーカーの物量で攻めたほうがロマンがあって面白いじゃないですか!