漫画家さんへのインタビューが増えてくることを見越し、まず漫画家さんとはどんな人なのか?を知るために本作を読んだ。日本で知らない人はいない「手塚治虫」さんの奥様の手記である。手塚治虫さんのことを知らない人はいないし、手塚治虫さんの何かの作品は読んだことがあると思う。しかしながら、手塚治虫さんがどんな人で、どんな生活を送ってのか?については、知らない人も多いだろう。現在の売れっ子作家についても同じで、作品や漫画家さんの名前は知っていても、性格、行動は知らないだろう。だからこそ、奥様にスポットをあて、手塚治虫さんのことを赤裸々に描いてあったのはとても興味深かった。
1:激務の漫画家さん
手塚治虫さんという事例しか分からないが、激務に重ねる激務だったようだ。寝る時間もほぼ無く、起きている時間は、漫画以外考えられない。イベントに出席する際にも、出演するギリギリの時間まで執筆。家族旅行に行っても、みんな寝静まったころには、仕事をしなければ行けない程、追いつめられる。それが国内であろうが、国外であろうが。そんな激務でも、会社を倒産に追い込んでしまったり、体調も崩しがち。もちろん、漫画を描くことが大好きな手塚治虫さんだったからではあるものの、ビジネスと漫画家を両方こなすには、血のにじむ生活が待っているのだと感じた。
2:古き良き時代の奥様
こんな言葉が、ジョークのように使われるようになってしまったが、素敵な女性だと思う。夫の仕事を最優先に考え、出産のときも、姑との葛藤も、子供の反抗期も全て奥様が支えた。夫を支えるというミッションを見事にこなした奥様は本当にすばらしい奥様だと思う。そんな奥様がいたからこそ、手塚治虫さんは仕事に没頭できたのだと思う。思えば、僕の家もそんな感じだったな。女性の社会進出という社会的発展もあり、現代社会では共働きが当たり前で、家族という形が変化してきている。それは社会の流れだから仕方ないのだけれども、なんとなく「古き良き時代の良いもの」を無くしてしまっている気がする。奥様の行動は、現代社会では受け入れられないかもしれないが、手塚治虫が手塚治虫であった背景には、奥様の存在無しには語れないはずである。ということは、奥様のような行動が必要なのだと思う。
読み終わったあと、手塚治虫さんの漫画に対する飽くなき執念というか、情熱を感じた。もの凄く胸が熱くなった。結局、後世にも残るクリエイションを創った人というのは、執念に近い情熱が無ければ生まれないのではないか。
手塚治虫さんのことを余り知らない世代でも、手塚治虫さんのことを知る世代でも、この本を読むと、今も本屋で手塚治虫さんの作品が並んでいる理由が分かり、情熱を感じること間違いないと思います。是非!
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