「アカマイ 知られざるインターネットの巨人」はインターネットバックボーンの解説がうまい

morimorihogeです。夏イベントも残すところあと1週間ですが僕はまだE2です。資源は10万以上あるけどまとまって取り組む時間がないでござる。

最近出たアカマイ 知られざるインターネットの巨人 (角川EPUB選書)を読みました。
著者はGeekなぺーじでおなじみのあきみちさんで、CDN(Contents Delivery Network)を生業としているAkamaiの仕組みや商売についての一般人向け解説本です。

ちなみに著者本人の本書に関する紹介はこちら
 Geekなぺーじ:『アカマイ 知られざるインターネットの巨人』を書きました

本書の良い所

インフラ(もやっている)エンジニア的な視点から見て、本書の良いなと思ったところをまとめてみます。ちなみに僕が読んだのはKindle版です。

インターネットバックボーンの基礎説明が平易にまとまっている

この手の技術がらみの解説書ではありがちなパターンですが、、本書はAkamaiのサービスの解説をするためにまずはAkamaiサービスに関連するインターネット技術の説明から始まります。
ただ、本書では多くのエンジニアが既に知っている&触ったことがあるであろうTCP/IPだけでなく、BGPで構成されるAS間ネットワークまで平易に解説しています
この辺、非エンジニアが書くと抽象的に濁して省略してしまうでしょうし、ガチガチのエンジニアが書くと専門用語まみれの長い解説になってしまったりするところなので、この文章量で平易に解説してくれるのはありがたいところです。

普段業務でよくあるシステム構築・運用をしている中ではBGPに触れることがある人は少数派だと思いますので、昔学生時代や資格試験でちらっと勉強しただけ、という人にはインターネットの仕組みを振り返る良い機会になると思います。

プロバイダ間のトランジット・ピアリングとその力関係について経済的に解説されている

さらに良い点として、プロバイダ間の力関係について経済的な視点から説明されていることが挙げられます。
大抵の技術書ではAS間接続の形態にはトランジットとピアリングがあるよ、といった技術的な用語解説や仕組みに留まるのですが、AS間の接続関係ではこのトランジット・ピアリング関係が大事です。
学生時代に読んだインターネットバックボーン系論文で「契約している内容に反してトラフィックを絞るevilなプロバイダをどのようにして検知するか」みたいな論文もあったことを思い出しました。

SureRouteの様な比較的最近の技術についての解説がある

Akamaiのサービスの解説を行っているため、SureRouteの様な最近のoverlay networkingサービスやprefetchingfront-end optimizationについても簡単に触れられています。
一般人向けに書かれた書籍なので仕組みについては平易な解説に留まりますが、周辺技術を知るエンジニアであればこのキーワードを元に仕組みをより詳しく調べたりする取っかかりになるのではないでしょうか。

残念だったところ

良い所だけ書くのも提灯記事っぽくてアレなので、気になった点も簡単に。重箱の隅的な内容ですが。

内容が冗長だったり、話題がやや前後してしまうところがある

説明の中でちょこちょこ分かりやすい例えなどが挿入されることが多いため、エンジニアとしてある程度技術的な下地がある場合は少し冗長かな?と思うことがありました。
ただ、この点については著者本人も

ただ、いままでの書籍と非常に大きく違うのが、編集者がIT系の技術とは全く無縁に近い方だったという点です。これまで、専門書を扱う方々としか書籍執筆作業を行ったことがなかった私にとっては、非常に多くの発見がありました。自称「超文系脳」な編集者の「ここがわからない」という数々の厳しいツッコミに対処することで、これまで私が書いてきた文章とは全く異なるタッチの書籍に仕上がっていると思われます。

と書いているので、意図的なものの様です。技術書としてではなく、読み物として読むのであれば気にならないレベルです。読んでいて「あ、ここが編集に突っ込まれたんだな」と思いながら読むのもそれはそれで面白いかも。

もう一歩踏み込んで解説しても良いな、と思うところも

輻輳の解説ではfairnessについてももっと触れた方が良さそうだなーとか、SureRouteはBGPの前提無視するのでISPに嫌われるとあるが、その辺もっと突っ込むと面白そうだなーとか色々ありましたが、これもあくまで技術書ではなく一般人向け書籍なので、あまり無駄に大量の情報を突っ込まないようにしたのだと思います。
このあたりのバランスは人それぞれなので、確固たる正解はないでしょうしね。

まとめ

そんなわけで、本書はがっつりした技術書に比べてかなりあっさりと読み切れる良書だと思いました。読書速度にもよりますが、2〜4時間程度で読み切れるかと思います。
Web系エンジニアであればフロント・バックエンド・インフラに関わらず自分の知識の再確認に、エンジニアでなくてもインターネットバックボーンやAkamaiのCDNに興味があるといった人にはオススメです。単行本の1,620円に比べてKindle版は900円とかなり安いです。

参考リンク

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この記事の著者

morimorihoge

高校卒業後,学生をやりながらずっとWebアプリ開発に携わってきました.2010くらいまではPHP/Symfonyプログラマでしたが,それ以降のWeb開発はRailsほぼ一本に宗旨替えしました.開発とは別にサーバ構築・運用も10年以上やってきているので,要件定義から設計・実装・環境構築・運用まで一通り何でもこなせます.開発以外では季節により大学でWebサービス開発やプログラミング関連の非常勤講師もしており,技術の啓蒙・教育にも積極的に関わっています.最近はPM的な仕事が増えていますが,現役開発者としていつでも動ける程度にはコードもサーバも弄る日々を送っています.AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトレベル取りました

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