TPAC 2015 報告後半(榊原バージョン)

榊原です.

TCAC 2015 報告の続編です.

読んでくれた人から,「完全にただの日記ですね」と言われましたが,はい,出来るだけ会場の雰囲気を届けたいので,日記形式でお届けしています.

10/29(木)

TPAC 後半戦です.後半の(個人的な)目玉は,DPUB IG (Digital Publishing Interest Group) と houdini TF (Task Force) です.ネットワークなどの研究をかじっていた身としては,houdini の方が実は興味津々です.houdini は,単に CSS のfragment にたいしてアクセス出来る API の穴をブラウザに開ける,というだけに留まらず,ブラウザのアーキテクチャをもっとアクセスしやすいようにする,という副次的な効果があるのでは,と考えています.現在のブラウザは,HTTP という通信機能や WebRTC のようなマルチメディア的な機能,CSS のような自動組版機能など,多くの機能を持っています.持ち過ぎています.確かに現在のさまざまなシステムは Web/HTTP を中心に回っていますが,それを受けとるソフトウェアであるブラウザは,肥大化しすぎていると思います.OS の kernel も似たような議論があって,micro kernel とか monolithic kernel とかの議論がありつつも,kernel module というものが登場しながら,monolithic な形を維持しています.さて,ブラウザは今のままで良いのだろうか.EPUB3 ビューアを製品として作ってみた感想として,ぶっちゃけ使いにくいっす.この使いにくさを,API を作りまくることを通して,変化が起きたりしないのかな,という意味でも,houdini の動きには興味があるのです.

とはいえ,本業が EPUB を使った電子書籍ビューアの販売なので,DPUB IG の会議に参加しました.DPUB IG では,EPUB 3.1 という,次の EPUB の仕様についての話が活発にされていました.HTML5 記法を許すかどうか,コンテナーはどうしようか,など話しています…が,僕の事前勉強が足りず,分からないことが多いです.日本の中では,村田さんという方が大きく反対されているそうですが,少なくとも DPUB IG ではその意見が反映された発言はありませんでした.国内で大きな声で話をしてもあまり仕様には反映されない感じです.もう少しお話が聞きたいところです.

CSS WG でも活発に活動している Daniel Glazman という方が POM (Publication Object Model) という話をしていました.BPS の超縦書でも「書籍」を抽象化するレイヤを作成していたので,ちょっと興味が湧きました.どうも,僕達がやったのと同じように書籍を抽象化するライブラリを作りたいようです.ただし,W3C は Web における仕様を策定していく団体です.ライブラリの提案では,なにか違和感を感じます.とはいえ,こういう抽象化レイヤの話は好きなので,どのように今後動いていくのウォッチしていこうかと思ってます.

また,Service Worker (SW) を提案した人が,DPUB に乗り込んできて,「SWは書籍にも有用だろ!使えYO!」と叫んでいました.…ふむふむ.Web 上にProxy を実装するようなものをどうやって書籍に適用するんだろう? EPUB の中に SW を入れるのかな…?など考えていると,どう考えても違和感しかないです.EPUB とかをキャッシュしたいなら,ブラウザの外で proxy server でも建てればよい話だし,EPUB の中でそんな変なものが動かれても,ダウンロードとの絡みが意味不明になってしまいます.とりあえず,電子書籍と SW の親和性は低そうに見えます.業界からの要望に応じて,適切なソフトウェア設計をして頂きたい.ただ,議論の波に乗っかって文句をぶつけるほどの英語力はないし,そこまで重要なコメントでもなかったので,IRC 上で /me とつけて文句をつらつら書いておいてみました.public なコメントにならないはず!と思っていましたが,議長さんは見逃さず「skk ってやつが何か言ってる.喋れ」とマイクが回ってきてしまったので,とりあえず文句を言いまくってみました.その後,別の議長さんが,ネットワークファイルの透過性の話と設計を絡めて似たような話をしていたので,大はずれではなかったはず.ちなみに僕の英語力だと,前述の通り,議論の波に乗っての発言は出来ません.日本語でも複数人で会話している際は,話の流れに沿ったタイミングと話の速度で発言しているはずです.英語でも同じです.それが出来ない場合は,挙手するなり,IRC に q+ と書き込むなりして自分の時間を確保した上で話をしています.おかしなことを言わなければ,ゆっくり話しても嫌な顔はされない空気感なので,是非発言していきましょう.

ということをしているうちに,木曜日の会議は終了.夕飯は,JP Industry Meetup を裏で支えてくれていた人との会食.色々な話をしつつ,楽しい時間を過ごさせて頂きました.

10/30(金)

TPAC 最終日.

どうも,AC dinner の時に設定した,パワーランチ(笑)が存在していたようです.ただ,僕がメールを確認したタイミングでは,何もなさそうな雰囲気だったのと,連日の夜の会食の疲れがたまっていて,「今日は寝ます!」と馬場に伝えて,会議をすっぽかしてホテルで寝ていました.昼過ぎに起きたところ,電話の履歴がひどいことに.はー.頑張って設定したのに,出られないとかマジしょんぼりです.しかも,会議もほとんど聞いていないので,何の話をしていたのかさっぱり分からず.何をしていたんだか…

と,何も仕事はしていないにも関わらず,懇意にしている vivliostyle さんが設定してくれた,vivliostyle friends の夕食会に参加です.日本人は,vivliostyle の村上さん,村上さんの奥様,馬場,榊原,のみで,残りは,DPUB などで活発に活動されている方々ばかり.トータルで 10 名程度でご飯です.Richard Ishida さん,Dave Cremer さん,Alan さん,Florian さん,台湾の Bobbyさん,Chris さん,などなど業界有名人だらけ.もう慣れました.

Houdini ってどこ目指しているのよ,とか,日本国内出版社とのつながりをもっと深くしようよ,とか,色々な話が出来ました.こういう話を通じて,最終的に電子書籍の市場がでかくなってくれると嬉しいですねー.

ということで,TPAC 最終日終了.最終日は電池切れであまりかつ度してませんでしたが,おつかれさまでした.

10/31(土)

番外編.

土曜日の夕方の便で帰ることになっていたので,ホテルをチェックアウトしてから,弊社馬場と多少は札幌内をうろうろしようかということに.ただし馬場は観光には興味ありません.

・「時計台見に行く?」
・「興味ないです」
・「北大散策する?」
・「別に」

むむむ.ふと,ホテルの机の上を眺めていたら,場外市場のパンフレットが.

・「カニとか食べるか?」
・「行きましょう」

ということで,電車を乗り継ぎ場外市場へ.ちなみに,今回の移動手段は一緒に宿泊していた人数が多かったこともあり,タクシーが多かったです.よって,ホテルの周りに何があるかすら,ほとんど知りませんでした.少し歩いてみると,コインランドリーやクリーニング店が散見されます.僕と馬場は,宿泊日数が多かったこともあり,ホテルのラウンドリーサービスを利用したのですが,通常の 2, 3 倍はします.外に出てみて少しげんなりしてしまいました.長期出張の場合こそ,前日入りして,生活情報を集めるのも大事かもしれないですね.

さて,場外市場は観光地と言うこともあり,カニ・いくら・うになどの文字が踊っています.適当に見繕った店(海鮮物屋さん併設の食事処)に入り,いくら・うに丼を食べようとしたところ,店先で売っているカニも食べられるとのこと.これは食べるしかないね,ということで外に見に行ってみると,タラバだのなんだのをとにかく試食させてきます.むむむ.もう食べるしかないじゃんね.ということで,毛ガニを行かせて頂きました.また,待っている間に馬場が「ホタテバター焼きも!」と珍しく追加オーダーをしています.僕は,会食に近い形で色々なところで食べていましたが,馬場はあまり外に出ていなかったので,特に食べたかったようです.出張を通して最高の笑顔で食べていたのが,印象的でした.

満腹になったところで,今回は余裕を持って空港に行き,出張は終了です.

ご迷惑・お世話をかけた皆様,どうもありがとうございました.引続き色々な活動をしていけたら幸いです.

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この記事の著者

榊原 寛

1980 年埼玉県生まれ。BPS COO。慶應義塾志木高校からそのまま慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスへ。コンピュータの勉強がしたかったので、学部1年より徳田英幸研究室へ。無線ネットワークに関する研究、ユビキタスネットワークに関する研究、センサネットワークに関する研究、仮想ネットワークに関する研究等を行い、2010年慶應義塾大学政策・メディア研究科後記博士課程単位取得退学。 IPA 未踏事業 2006年度、2007年度開発責任者。日本学術振興会特別研究員(DC2) 2008年度。技術が実際に役に立つ現場に行きたく、BPSへ。BPSでは、主に電子書籍に関する事業に従事。マンガEPUBビューアや WebKit を利用した EPUB3 の日本語縦書きビューアプロジェクトを推進。全国中小企業団体中央会によるグローバル技術連携・創業支援補助金(創業枠)及び東京都中小企業振興公社「新製品・新技術助成事業 助成金」を MangaReborn 事業にて申請・獲得。電子書籍に関する次なるソリューションについて日々試行錯誤。慶應義塾大学環境情報学部非常勤講師兼任中。慶應義塾大学 SFC 研究所所員。W3C AC Representative。 http://techracho/bpsinc.jp/skk/ , http://www.ht.sfc.keio.ac.jp/~skk/

榊原 寛の書いた記事

開発
W3C/IDPF の統合に関して

2016年05月15日

週刊Railsウォッチ

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