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SaaS系サービスの名称をくんシリーズからビヨンドシリーズに刷新しました

こんにちはGenkiです。

私は東京都江東区から石川県能美市に移住し、のんびりスローライフを営んでおります。最近の悩みは、庭の芝が均一に育たないことです。天然芝に詳しい方がいたら、ぜひ相談させてください。


さて、2017年頃に1発目をリリースした「入退くん」を皮切りに、「日報くん」「コマグミくん」、最近では「注文くん」といくつかのクラウドサービスを立ち上げてきたBPSですが、2025年、このタイミングでサービス名を刷新する決断をしました。

すべてのサービス名に「くん」が付いていたことから、社内では通称「くんシリーズ」と呼ばれていました。
親しみやすく、教育・福祉領域との相性も良いのですが、実際に運用する中でいくつか課題が浮き彫りになってきました。

最も大きかったのは、

○○くんというサービスが世の中に多すぎる!!!!

(いや、入退くんをリリースする前に気づけよ、というツッコミは甘んじて受け入れます)

ChatGPTにも「地獄ですね」と言われる始末。笑


🔗 サービス同士のつながりが伝わらない問題

名前が似すぎてしまうがゆえに、

「入退くん」と「日報くん」を同じ会社が運営していると思われづらい

という問題がありました。

実際、両サービスはすでに連携機能が実装されており、「勤怠」と「日報」の両方が課題のユーザーには、セットで使っていただくのが理想です。
しかし、我々にとってはどちらも自社サービスでも、ユーザーにとっては「別の会社の別のアプリ」に見えてしまうわけです。

そのため今回の名称刷新には、

1つの顧客に複数サービスを横断利用してもらえる導線をつくる

という狙いが大いに含まれています。

そして、最終的に——タイトルにもある通り“ビヨンド”に統一することにしました

この記事では、ビヨンドに至るまでの経緯やロゴのモチーフ、そして旧社名との関係まで振り返っていきたいと思います。

🔗 ① suffix(接尾辞)ではなく prefix(接頭辞)に寄せるべきでは?説

「入退くん」「日報くん」「注文くん」のように、我々の命名は機能名+くん(suffix)という構造でした。

親しみやすさはあるものの、

  • Web検索で埋もれやすい
  • 他社の“くんサービス”に埋没する
  • 似た名前が多いので差別化不能

こういった課題が目立つようになりました。

では他の suffix はどうかというと、
〜クラウド、〜マネージャー、〜システム、〜ワークス…
はい、全部どこかで聞いた名前になります。

名前を変える意味がない。

この時点で、suffixの限界がはっきりしました。

そこで出てきたのが、

prefix(接頭辞)で揃えた方がブランド運用に寄与するのでは?

という仮説です。

実際、他のSaaS領域を見てもsuffix構造で伸びているサービスはほぼありません
入退くん・日報くんが市場に受け入れられるかどうかは半々だったので、名付けも正直けっこう適当でした。これは反省点です。

このタイミングで、ブランドをしっかり確立できる prefix を探そうという話になりました。


🔗 ② じゃあ prefix は何にする?

prefix を統一しようと決まってからが長い議論の始まりでした。

  • スマート◯◯
  • クラウド◯◯
  • ワン◯◯
  • ハブ◯◯
  • リンク◯◯

いろいろ出ましたが、どれも決め手に欠ける。

そんなある日、チャット欄で誰かがぽろっと言いました。

「ビヨンドってどうですか?」

最初は「ビヨンド?」という反応でしたが、意味を考えたらものすごくしっくり来ました。


◇ ここで重要な伏線

実は BPS の旧社名は

“Beyond Perspective Solutions”
(ビヨンド・パースペクティブ・ソリューションズ)

だから BPS なんです。

つまり、

会社の軸として “Beyond” が最初から存在していた。

ここに立ち返る形で“ビヨンドシリーズ”を名乗るのは、ブランドとして非常に自然でした。

旧社名の意味するところは、

  • 既存の視点を超える
  • 新しい価値観を提示する
  • 現場の課題を越えたソリューション

という理念で、これは今のサービス群にも完全に一致します。


社名を「BPS」に刷新したのは2019年。
それ以前に入社したメンバーと、それ以降のメンバーとで“ビヨンド”という言葉への温度感が違うのも面白いところです。

私は2014年入社なのでずっと“ビヨンド推し”。
ただ運用チームは2019年以降の入社が多く、そこまでピンと来ていない様子でした。

とはいえ、“Beyond”という言葉はまだサービス名に使われることが少なく、独自性も高いしバックストーリーもある

社内では次第に、

「ビヨンドしかない」

という空気になっていきました。
(というかその空気に持っていきました。昔から得意なんです、空気作り)

prefix との相性も抜群で、

  • ビヨンド入退
  • ビヨンド日報
  • ビヨンド注文

どれも不思議とすっと馴染む(気がする)。

こうして prefix は“ビヨンド”に決まりました。


🔗 ③ ロゴやモチーフについて

prefix が決まったら次はロゴです。

幸い社内にデザインチームがいるので、がっつり議論しました。

“Beyond=越える”というキーワードを軸に、以下のようなモチーフ案を検討しました。

デザイン案の中から運用チームで方向性のOK/NGを出し、
具体案に落とし込んだ段階で、各デザイナーから形になったものが共有されました。

どちらの案も本当に良くて、選ぶのが難しい…。
というか今までが文字だけのロゴだったので、生き物が添えられるとこんなに血が通ったものになるのかと驚きでした。
動物の選定にもちゃんと理由があり、それぞれの“強み”が成立していました。

そこで改めて考えました。

僕らのビヨンドシリーズが提供できる価値って何だろう?


入退くんや日報くんを例にすると、
「入退室管理」「日報提出」は新しい概念ではありません。
ただし既存業務をより手軽に・より便利にできる点では自信があります。

今後のサービスもおそらく同じで、

“革命”ではなく “日常をちょっと便利にする”

という方向性で企画・開発されるはずです。


だからこそ、ビヨンドシリーズは

小回りが利く

ことを武器にしていきたい。


DX化が叫ばれる一方で、業務をガラッと置き換えるのは負荷が大きいです。

  • どこから始める?
  • 誰が旗を振る?
  • 何年スパンで?
  • 既存業務は誰が回す?

理屈ではDXの未来は楽ですが、そこに至る橋がイバラなんです。


だからこそ「勤怠だけ」「日報だけ」をまずDX化する。

現場で「ITって便利だね」が浸透したら、そこから徐々に広げていけばいい。
それがビヨンドシリーズの役割であり価値だと思っています。

もちろん途中でサービス解約に至るケースもあるでしょう。
それでも、現場の体験価値を優先する姿勢は変えません。

(本音は一生使ってほしいですけどね!)


この“小回りが利く”という要件をデザインチームに強く伝え、
最終的に完成したロゴがこちらです。

ビヨンドシリーズのロゴ

本ロゴは、俊敏さと親しみやすさを兼ね備えたリスをモチーフに、サービス名の頭文字である「B」の形状をしっぽで象りデザインしています。
リスのふわふわとした大きなしっぽは、ブランドの個性とサービスの柔軟さ・しなやかさを表現。さらに、片手をそっと差し出す仕草を取り入れることで、クラウドサービスとしての「困ったときに寄り添い、手助けする存在」を視覚的に表現しています。
また、俊敏で小回りが利くリスの特性は、日々変化するビジネスシーンの中で、ユーザーのニーズに柔軟に応え、痒いところに手が届くサービス姿勢を象徴。サービスを利用することで、ユーザーの業務がスムーズになり、より前向きに取り組めることをイメージさせています。
キーカラーには信頼感・誠実さ・知性を象徴するネイビーを採用。クラウドサービスの持つ先進性と、ユーザーに寄り添う安心感を両立させています。

素晴らしい仕上がりです。とても満足しています。

🔗 ④ リリース予定のサービス達について

既存サービスは以下のように差し替えました。

  • ビヨンド入退くん(旧"入退くん")
  • ビヨンド日報くん(旧"日報くん")
  • ビヨンド注文(旧"注文くん")

入退・日報の “くん” を外してもよかったのですが、

  • 既存ユーザーの認知
  • 社内の定着
  • ネーミングを第三者に奪われないため

これらの理由から“くん”は残すことにしました。


今後の予定はこちらです。

  • ビヨンド通知(自治体・学校・学童向け一斉配信)
  • ビヨンド整理券(順番待ちサービス)
  • ビヨンド連絡帳(学童向け電子連絡帳)

prefix が揃うだけで、まるでひとつの世界観にサービスが並ぶように見えます。
改めてブランドの力を感じました。

ビヨンドシリーズのラインナップ

どれも“日常をちょっと便利にする”「小回りの利く」サービスです。
価格帯もこれまで通り(目安 3,000円/月)を想定しています。

これを機にロゴのガイドラインも作成してもらいました。

ビヨンドシリーズのロゴ利用ガイドライン

🔗 まとめ:ビヨンドシリーズは「原点回帰であり前進」

“くんシリーズ”は、スタートアップ期の象徴でした。
右も左も分からない中、現場の課題に寄り添いながら必死に作ったサービスたちです。

ただ会社のフェーズが変わり、ユーザー規模も増え、
サービス連携やブランド統一性が重要になった今、
名前も次のステージに進むべきだと判断しました。

prefix を「ビヨンド」にしたのは単なる思いつきではなく、
旧社名に宿っていた “Beyond” の価値観への回帰です。

つまり、

原点回帰であり、前進。

これからもビヨンドシリーズとして、
“小回りが利く SaaS” を届けていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
引き続きよろしくお願いします。


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