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害虫駆除を頑張った話。トコジラミという生き物を知っていますか?

更新情報

  • 初版公開日: 2022年12月14日
  • 最終更新日: 2023年12月15日

トコジラミに関する基礎知識は以下の情報も参照してください。

参考: トコジラミ 東京都保健医療局
参考: 害虫駆除(ゴキブリ駆除・ダニ駆除・ネズミ駆除・蚊駆除、トコジラミ駆除・ハチ駆除)のご相談は|公益社団法人日本ペストコントロール協会

「トコジラミ 駆除」「スーパートコジラミ 駆除」などでこの記事にたどり着いた方に先に結論だけ書いておきます。
業者一択です。記事読む時間も勿体ないので、すぐ業者探しに移行してください。

そして、今この記事を見ているアナタの人生の未来にもコイツと出会う可能性があります。
もし出会った時に私のこの記事を覚えていたのなら、すぐ業者探しをしましょう。悪即斬です。

追記(2023/12/15): 本記事公開後もスーパートコジラミを始めとしてトコジラミの被害が大きく世間で取り上げられています。
自治体によっては、業者の選定にお困りの場合に各都道府県のペストコントロール協会への相談を推奨するところもあるようです。
私が最終的にお世話になった業者もペストコントロール協会への事業登録がしっかりある業者様でした。ご参考になれば幸いです。

0. はじめに

2022年もそろそろ終わりですね。
皆さんは今年1年どんな年でしたか?

楽しいこと、嬉しいこと、辛いこと、悲しいこと、色々あったと思いますが、個人的に一番辛かったことはタイトルにもある害虫駆除の件です。
「え~?害虫駆除が一番辛いなんてこの人今年あまり辛いことなかったハッピー人間なのかな?」なんて思わないでください。
経験ある人なら分かると思いますが、このトコジラミというヤツはとても厄介な割に、ゴキブリ・シロアリなどのメジャー害虫に比べて知名度も低く、対応を見誤ると私のように事態は悪くなっていきます。

というわけで、実体験をもとに害虫駆除の話を会社のアドベントカレンダーとして書くわけです。
でもこのブログ自体は開発記事なので、出来れば何かしら開発と絡めたいなと思っていたんですが、よく考えたらコレみんな大好き「バグの話」ですよね。(はい、2022年笑い納め終わり!)

余談ですが、英語圏のエンジニアの人が「バグが出た!」って言ったらちょっとややこしいですよね。

1. 遭遇

今年7月末~8月頭にかけて大分~宮崎を旅行しました。宮崎が出身地なので、帰省も兼ねた夏休みという名目です。別府の温泉、久々のうみたまご(水族館)、宮崎の美味しい料理たち・・・楽しかったと言えども、旅行は旅行で疲れます。
写真は大分が誇る関アジと、宮崎名物の地鶏です。当たり前ですが、美味しかったです。(関アジはやっぱ旬には負けるな、と思いましたが)


8月3日の夜22時頃に自宅について、嫁も翌日早朝から仕事だったので早々に寝る準備をしていたのですが、その時にヤツらを認識することになります。

ベッドの上でうごめく数匹のバグ・・・
Gほどは大きくないですが、目視できる程度には存在感があり「そんなベッドで眠れるかー!」と客用の折り畳みベッドをリビングに敷いて、夏だったのでバスタオルをお腹にかけて寝ようとしました。

が、そのバスタオルからもバグが出てきてもう2人そろって涙目。
正体不明のそいつの駆除よりもまずは明日に備えて睡眠を取りたかったので、どうする?Goするって事でGoアプリでタクシーを呼んで、一番近い格安ビジネスホテルに宿泊しました。
ホテル到着したのは25時。ご飯食べる気力もなく、翌日に備えて眠ることになります。

2. 正体

嫁は朝早くから仕事だったのでそのまま仕事に向かい、僕は一度部屋に戻って駆除作業をして仕事に向かうことにしました。
マツモトキヨシで強力そうな殺虫剤と燻煙剤を購入し、目に見えたヤツらはスプレーで退治。それ以外のヤツらは燻煙剤で一網打尽じゃーという勢いで、「家帰ったら死骸が転がっているから掃除機で吸わなきゃなー」なんて呑気なことを考えてました。

ただ、そのヤツらの正体が不明だったので、不本意ですが、一応写真を撮っておき、出社しながら調べてみることに。そこで驚愕の事実を知ることになります。
その時に撮った写真がこちら。虫が苦手な方はごめんなさい、一応引きのショットです。

なんとヤツらの正体はトコジラミ
シラミとついているので、髪の毛などに付く虱の一種かと思いきやカメムシの仲間。
またの名を「スーパーナンキンムシ」と呼ぶそうです。元々、日本にナンキンムシ(南京虫)の名称で存在していたみたいですが、戦後のDDTにより一掃されたらしいです。
しかし、その生き残りが海外に渡り、海外でレベルアップして帰ってきた。だからスーパーの名を冠しているみたいですね。

僕ですらまだスーパーついてないのに・・・

トコジラミについて書くだけで一記事書けちゃうので、気になる人は以下のリンクから調べてみてください。

参考: 特技はかくれんぼ?トコジラミの見つけ方と刺されないための4つの対策。|その他|害虫なるほど知恵袋

そしてなんとこのスーパーナンキンムシことトコジラミですが、スーパーの名は伊達じゃないようで
市販されている薬剤はほとんど効かないそうです。殺虫剤の効果のある虫欄にトコジラミの名があってもです。

さらに更に、効きはしないのに嫌がりはするみたいで、燻煙剤を撒くと、元々の住処から家全体に広がってしまうとの記載が。
ちなみに元々の住処はベッドの下やカーテンのフックの部分など、寝ている人間にアクセスがよく且つ暗くて狭いところを好みます。
なぜなら大好物は人間の血液だからです。こうやって書くとマジでタチ悪すぎますね。

この燻煙剤で家全体に広がってしまったトコジラミと、これから死闘が始まろうとしていました。
煙が上がる写真を撮影しながら勝利を確信していた過去の自分をぶん殴ってやりたいです。

3. 試行錯誤

この時点で業者の選択肢もありましたが、費用が高額(最低でも7万円~※HP上記載)であることからなんとか自力で解決しようと試みました。
市販されている殺虫剤は効果がないとの事でしたが、エヤローチという業務用のエアゾール(環境管理用薬剤)であれば効果があるとのことで、早速Amazonで購入。使ってみることにしました。
※Amazonのリンクは挿入しません。なぜなら冒頭にもあるように業者一択だからです。

たしかに、市販の殺虫剤に比べて効きがよく、死んだふりではなく本当に息絶えており、部屋の至るところにこのエヤローチを設置し見かけたら殺すというかなり殺伐とした日常を送ることになりました。
ただ、ベッドで眠るのはさすがに心の準備が整っておらず、週末一気に駆除をやると決め、それまでの間はホテルを転々として暮らしていました。家あるのに・・・
基本的に、1日1度はどちらかが仕事の前か後に家に帰り、見かけたら殺すをやりつつ着替えを交換するという生活。旅行疲れもまだ癒えていないのに、非常にストレスフルな日々を過ごすことになりました。

時には別々でカプセルホテルに泊まることも・・・(と言いつつ、カプセルホテルの秘密基地感とサウナは大好きだったり

4. 油断

そして待ちに待った週末。
ベッドマットをひっくり返したり、クローゼットの中の居そうな部分にエヤローチを撒きまくり、乾燥に弱いと言われるトコジラミの為にレンタカーを借りて家中のバスタオルや毛布、布団カバー、タオルケットを大き目のコインランドリーで高熱乾燥かけました。

ベッドマットの裏の様子の写真はこちら(多分そこまでグロではないです。)

人間の血を吸うのですが、消化しきれなかった分を糞として出すためこのように黒い斑点が見られます。これがトコジラミの住処の証です。

ネットやyoutubeとエヤローチを頼りに部屋中の怪しい箇所を虱潰しにしました。(シラミだけに。シラミじゃなくてカメムシだけど)

あらかた完了し、ようやく我が家で一息つける日。
久々に料理もし(期間中常に外食だった)、少し目を潤ませながら「永い闘いだった・・・」と勝利を確信しビールで乾杯なんかしちゃいました。

乾燥機にかけたのでフワフワの毛布やカバーたちに祝福されながら、旅行も合わせたら約10日ぶりに家で眠れる喜びを噛みしめながら、意識も無くなっていきます。

サササッと手を這う感覚。
まだ居ました。トコジラミの残党です。

5. 決断

悲しみと怒りが織り交ざった複雑な感情で、意識朦朧としながら業者に駆除を依頼することに決めました。
思えば最初からこの決断をしていれば、いくらかマシだったかもしれません。

深夜0時にいくつかの業者に問合せし、最速で来てくれる会社にお願いすることにしました。
しかし、それでも到着は2時30分頃と言われ、ソファでお互いに仮眠を取りながら業者の到着を待ちました。

そして2時30分を迎えましたが、来る気配が一向にないのでこちらから再度電話をしてみると(当初は前の現場が終われば到着目途が分かるので、到着前に1本電話を入れると言われていたがそれがなかった)、先方の連係ミス?か何かで今から手配をするとのこと。到着何時ですか?と聞くと、早くて4時です。と笑

なぜトコジラミ以外にも怒りを募らせなければならないのかと呆れその業者はキャンセル、その日も結局は外泊をしました。なぜならその日は週末で翌日からまたお互い仕事が始まる月曜日を控えていたからです。

ただ、もう業者にお願いすると決めた以上次の日からは信頼できる業者探しに時間を費やすことになります。
「もう金ならいくらでも出す。この地獄から開放してくれ。」冗談じゃなく本気でこのセリフが自分の口から出てくるとは思いませんでした。

6. 執行

業者選定は基本的に嫁がやってくれました。最初は予算7万円程度で考えていましたが、最終的に依頼した会社は15万円。
害虫駆除と一口に言っても、虫の種類は様々なので、「どんな虫でも対応できます!」よりもなるべくトコジラミに特化した専門性の高い会社を探してくれました。
ここら辺は、「なんでも開発します!」な開発会社よりも「EC得意です!」「セキュリティ強いです!」など得意領域がハッキリしている開発会社の方が信頼できそうな所に似てますね。(ちなみにBPSはRails開発と電子書籍に関する開発が得意です。この記事で唯一の宣伝要素)

決めた会社は、お電話で申し込んで翌々日に執行することが決まりました。あと少しの辛抱だ。だけど、これで駆除できなかったらどうしよう・・・そういう不安も抱えたまま、更に外泊を2日するに至ります。
前日の夜には薬剤に触れないように、衣類を中心とした部屋中のほぼ全てのモノをビニールに詰め込む作業を行いました。ほぼ引越し作業です。

そしていよいよ当日を迎えました。
僕は仕事で作業自体は嫁に立ち会ってもらいました。家に着いた頃には大体の作業が完了していました。

いくつかの工程を踏んで駆除していくのかと思いきや、意外と薬剤のみで戦うスタイルでした。
床は薬剤でベトベトになりましたが、トコジラミは移動が匍匐前進の羽が無い虫なので、これで全て駆逐できるようです。
電話で問合せた時にも、作業をしたその日からベッドで眠れると言ってくれていました。本当にこれで大丈夫か?と思いながらベッドに入りましたが、手を這う感覚はその日以降味わっていません。(寝落ちする直前はやはり神経ビンビンでしたが、連日の疲れもあり爆睡していたようです。)

7. 原因

業者さん曰く、この家にはかなりの数のトコジラミが住んでいたみたいです。その数なんと300~500。卒倒しそうになりました。
基本的にトコジラミは部屋で自然発生するものではなく、宿泊先で衣類やカバンに侵入したり、混んでいる電車の中で人から人に移動したりして部屋に運ばれてくるものらしいです。羽がなく飛んで侵入してくることがないのは幸いですが、正直どこから侵入したかの特定は難しいとの事でした。
家の清潔さなどは関係ないです。不潔が原因だったらこんな記事公開できないです。

そして、8月上旬時点での我が家での繁殖ぶりを見るとおそらく5月頃に侵入したのではないかとの見解でした。
5月からこいつらと共生してたと考えると身の毛もよだつ話です。

ではなぜ、そいつらの存在に気付けなかったのでしょうか。
本来、トコジラミは噛まれると非常に強い痒みを感じ、眠るのもままならない状況になるそうです。
ただし、一家族に一人くらいの割合で噛まれても痒みを感じない抗体を持っている人がおり、ぼくたち夫婦はたまたま二人ともその抗体を持っていたという話でした。

痒みを感じなかった分、発覚が遅れてしまったという感じですね。

そしてその業者さんはこうも言ってくれました。
「今回の件でこれからの旅行の時に神経質になるかもしれません。ただし、トコジラミを部屋に持ち込んでしまう確率はかなり低く、それを気にしながら旅行をしても楽しめないと思います。今回は事故にあったと思って、次回万が一持ち込んでしまった時には再度僕らを呼んでください」と。イイハナシダナー

そんな今回お願いした業者さんのリンクも張っておきます。本当にありがとうございました。

参考: 大洋防疫研究所

薬剤の効果も数か月持つみたいです。
信頼はしているものの、直近で別の個体を持ち込んで萎えるのも嫌だったので1年保証も付けました。

8. 教訓

今回のトコジラミの1件で、3つの教訓を得ました。それは

  • 燻煙剤を焚かない(悪手中の悪手)
  • 素人が出しゃばらない(≒業者に即お願いする)
  • 犯人捜しをしない(しても無駄、疑心ではなく協力を)

です。
その他、かろうじて良かった点で言えば、ほぼ引越し作業レベルでクローゼットをひっくり返したので軽い断捨離になりました。決して感謝はしてないですけどね。

金額的には、ただでさえ旅行で散財したにも関わらず、東京に戻ってきてから全てを外泊にしていたため、駆除費用15万円に更に外泊費用10万かかりました。期間中、その全ての食事を外で済ませていたため30万近くはヤツらに持っていかれたと言っても過言ではありません。その点でも辛かったですね。

まぁ高い勉強代だと思って、今は家で布団で眠れることに感謝しています。
この記事がトコジラミで悩む誰かの助けになってくれたら本望です。

なお、「トコジラミ 駆除」などで検索すると6-7万円から駆除可能!との記載を多く見かけますが、あくまでも初回がその価格なだけです。厄介なこの虫は普通の駆除業者だと1回で撲滅するのは難しく、2-3回繰り返す必要があるため、結局15-20万円くらいは掛かります。なお3-4万円の記載がある業者は論外です。(これは嫁のリサーチによるものですが、かなり時間かけて情報収集してくれていたので間違いはないと思います。)

ちなみに今年2番目に辛かったことは、声の出し過ぎで声帯が腫れまくって声が出なくなった件です。
まぁ辛いこともたくさんあった2022年ですが、それ以上に楽しいことや新しいことに出会えた年でもありました。

2023年も私はもちろん、皆さんにとって良い年でありますように。と願いをこの記事に込めて締めくくりとさせていただきます。

読んで頂きありがとうございました!



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