morimorihogeです。飲食店の夜間営業解禁ほんとうれしい。
先日いわゆる眼内コンタクトレンズ手術(ICL)というやつをやりまして、小学生時代以来手放せなかったメガネを付けない生活を手に入れました。
ちょいちょいZoomとかで聞かれることもあったので、術後2か月以上経過したここいらでどんな感じだったかをまとめてみます。
※免責事項:本記事の情報はN=1の僕自身の体験および考えであり、記載されている内容の医学的・統計的正確性及び判断の客観的妥当性について保証するものではありません。内容の解釈・リスクの判断については他のサイトや直接医師とも相談するなど各自自分で判断するようにしてください。
※参照URLをいくつか記載していますが、僕は専門家ではないため内容が正しいかどうかまでは検証できていません。こちらもご了承下さい。
眼内コンタクトレンズ手術って何?
名前の通り、眼球にコンタクトレンズ(専用のもの)を埋め込む手術です。
コンタクトレンズを埋め込む位置によって前房型・後房型の2種類があり、
- ICL
- 後房型有水晶体眼内レンズ
- 後房型フェイキックIOL
と呼ばれているものが僕の手術したものになります。前房型・後房型の違いは以下のサイトの図が分かりやすいかと思います。
※以下「眼内コンタクトレンズ手術」と呼称する場合は後房型のいわゆるICLを指しているモノとして話を進めます
レーシックとの比較
目そのものに手を入れて視力を回復させる手術という点でレーシックと比較されることが多いのですが、眼内コンタクトレンズ手術には(調べた限り)以下のような利点があります。
- 角膜を削らないので、合わなければ(装着から時間が経過しても)手術で取り出し・交換することができる
- レーシックは「元に戻す」ということが仕組み上不可能なので、undoできるというのは大きな利点になります
- 削るだけの角膜の厚みがない場合、レーシックは不適
- レーシックは厚さを増やすことができないため、体質によってそもそもレーシックが合わない体質というものがあります(僕はこれでした)
- レーシックにくらべて強制できる視力の範囲が広い
- 強度近視でも対応可能など、レーシック手術に不適とされた場合にも適応できる可能性があります
一方でデメリットは以下の通りです。
- レーシックと同じく保険適用外だが、手術費用が高い
- レーシックが最安10万円台~30万円台なのに比べ、50万円~90万円程度の相場感です。自由診療のため保険は適用されません(医療費控除の対象にはなります。詳しくは後述)
- レーシックに比べて初期検診~手術までの待ち時間が長い
- 埋め込む眼内コンタクトレンズの発注のため、それなりの手術待ち期間があります。僕の場合1か月ほどでした(後半のタイムライン参照)
- レーシックに比べて手術後の生活への負担がやや大きい
- レーシックでも術後の制限がないわけではないのですが、調べる限りではレーシックは比較的早い段階で通常の生活に戻れるのに対し、眼内コンタクトレンズ手術では術後数日は洗顔も不可、入浴も数日~1週間は不可で運動も激しいものは1カ月程度は不可と厳しめの制限がかかります
補足:その他の視力矯正手術
社内で本記事のdraftをレビューにかけていたところ、最近出てきたリレックススマイルは比較したの?という意見をもらいました。恥ずかしながら僕はリレックススマイルは知らなかったのですが、これから検討する人はこちらも調べてみると良いと思います。
ざっと検索して調べてみた範囲では金額はレーシックより少し高い程度で眼内コンタクトレンズ手術よりは安く、デメリットもレーシックに比べて小さそうですが、手法自体が比較的最近(2006年?)生まれたものの様で、臨床件数が少ないという点が個人的には気になりました。
眼内コンタクトレンズ手術はICLが1986年から始まり、日本では2003年臨床治験、2010年には厚生労働省承認ということなので臨床件数が多い、かつ初期に手術した人が術後それなりに期間が経っているので安心という要素があるので、術前に知っていても僕は眼内コンタクトレンズ手術を選んだかな、という気持ちです。
この辺りの何を安心とするのか、何をリスクとしてどれくらいの安心マージンを取りたいのかについては各自自分で判断するしかないので、怖いと思うなら止めるのも正解ですし、エイヤで決めるのも正解だと思います。
ただ、なんにせよリスクをゼロにすることは不可能なので、納得(というか自分を説得)できるまで悩んで決めることをお勧めします。
僕が手術を選択した背景
手術するかどうかの選択は人によって様々ですが、参考までに僕の事情を紹介しておきます。
コロナ進行で引きこもっていて暇だった
実はこれが一番の理由です。
自分にとっては絶対にしたいというわけでもない手術(生きていくのに困ることはない)だったので「時間が取れるならやりたい」というqueueに貯めていましたが、引きこもり生活が時間を作ってくれました。
beforeコロナ期は週数回は都内に移動して客先訪問などもあったため、術後の活動自粛期間を設けるのが厳しいなあと感じていました。それがコロナ渦で仕事で家の外に出ることが無になった上、真夏(手術したのは8月頭)は暑すぎてキャンプもいかないし引きこもるからという前提条件がそろい踏みということで、じゃあやってみるか、という気持ちになったのでした。
レーシックは体質上合わなかったし、何かあっても怖いなあという気持ち
体質上角膜の一部が薄く、レーシックは適合しないだろうという事情がありました。
また、ずいぶん前ですがレーシックが一時期流行ったころに手術ミスの話も広く出回り、大きく生活に支障があるわけでもないのにundoできない手術をするのもなあ・・・という気持ちで一歩引いていました。
手術ミスや不適合の可能性は低いとはいえゼロにはならず、ゼロでないならブラックスワンは無視できないということで、普段から最悪ケースを考えるシステム屋脳により、レーシックは興味はあるけど必須ではないので眺めておこう、という気持ちでいました。
※レーシックに対する危険性の判断は僕個人の判断であり、現代では流石にもっと安全性は向上していると思います。あしからず
眼内コンタクトレンズはそのあたりの最悪ケースもフォローできる(取り出し・交換可能)ということで「それならやったるか」という気持ちになったわけです。
運動やマスクするときにメガネは邪魔だけど、コンタクトは性格上無理
運動して汗をかいたときやマスクをする時なんかにメガネが邪魔だなーと思うことはありつつも、コンタクトは毎日交換したり洗浄したりするという行為がずぼらな自分にはまず継続不可能ということで、一時期試したりもしたのですが続きませんでした。
普段の生活が動画観ながら寝落ちするのが常態化しているので、いつ寝るかもわからないのに寝る前に外すなんてできないわけですね。
眼内コンタクトレンズは目に埋め込むという仕組み上、入れてしまえばメンテナンスフリーです(というかメンテしようがない)。すばらしい。
もちろん入れたレンズの度数が合わなくなることはあるので、一生メガネなし生活ができるわけではありませんが、それにしてもベース視力がUPするのは十分に投資の価値があると判断しました。
VRゴーグルメガネあると不便問題
世の中のVRゴーグルはメガネがあっても脱着できるようにできてはいるのですが、テンプル部分がゴーグルに押されてベストポジションを調整するのが難しかったり、ある程度激しい運動をするようなゲームをやっているとVRゴーグル内でメガネがずれたりなど地味に不便でした。
また、直近スマートグラスに興味があり、移動時の作業用ディスプレイとしてスマートグラスいいなあと思っていたところでした。しかし、世の中のスマートグラスはメガネと併用するとイマイチな見た目になってしまったり、製品の選択幅が狭まるなどの問題もあり、メガネがなければ選択肢が広がるなあと思っていました。
各種条件がマッチしていた
順位が低めですがこれも重要です。僕の場合、以下の条件がマッチしていました。
- 年齢条件をクリアしていた
- 一般的には18歳~老眼年齢(一般には40台ごろ)までが適応とされていますが、クリニックによってより厳しい・優しい条件を設定しているところもあるようです
- 性質上術後の自然な視力悪化(老眼・白内障)を防ぐことはできないため、30台前後くらいで施術するのがよりメリットを多く享受できるようです
- 直近数年間の視力が安定していた
- 眼内コンタクトレンズ手術を行っても自然な視力低下は止められないため、視力が変化している最中の場合には術後度が合わなくなってしまう可能性があります
- 僕の場合は学生時代くらいまでは徐々に低下したりしていましたが、大型ディスプレイを買って80cm以上ディスプレイとの距離を置くように注意するようになってからはほぼ変化しなくなりました(医学的根拠のない個人の感想です)
- その他、検査でも特に不適とされる点は見当たらなかった
安い手術ではないし少なからずリスクを取るものなので、この辺りは事前に結構調べました。クリニックによって少しずつ説明の仕方が変わったり、明らかにアフィリエイト目的な雰囲気のサイトはいいことしか書いていなかったりもするので、なるべく悪い意見も意識的に調べておくことが大事ですね。
その他もろもろ
その他にもブルーライトカットレンズは意味がないという学術的根拠が出されたり、2年に1回くらいは何かの拍子でメガネを破壊したり失くしたりして不便を被ったりなど「メガネがめちゃくちゃ不便というわけでもないけど、ないならない方がいいなあ」くらいの気持ちでした。
なんだかんだで、人生の大部分メガネをかけて生きてきたので、ここいらでNoメガネライフも体験しておきたいな、という好奇心も大きかったかもしれません。
手術を決めた後~術後まで
手術するのを決めてからの流れなどを書いておきます。
クリニック選び
ネットでいろいろ検索しつつ、手術の事例が多そうなところの中から金額との見合いで決めました。
事例件数の多いクリニックは設備やフローが整っているのでそのあたりは心配ないですが、クリニック側もロットを乱さず患者を処理していきたいので冗長な説明などは(こちらから聞かなければ)あまりないのが特徴かなと思います。僕は色々と調べてから受診したので特に問題に感じませんでしたが、当該クリニックのレビューを眺めていると「受付が丁寧じゃない」とか「説明が親切じゃない」といったものが悪いレビューで目立ちました。
そういう意味では患者としての扱いのお気持ち的丁寧さや気持ちの安心を求めるのであれば、安さよりお値段高めのところを選ぶと良いのかもしれません。
# 僕にとっては聞きたいことは聞けたしロット処理は待ち時間が短くて効率的だしで満足でした
術前~術後タイムライン
以下、記憶からダイジェストで。手術日をday Xとして記載しておきますので、どれくらい期間がかかるかの参考にしてみて下さい。
手術後の感染症対策のため、かなり生活に制限が加わりますのでその辺の一旦は事前に準備しておいた方が良いと思います。
※なお、細かい制限事項や処方される薬の指示等についてはクリニックにより差があるようです。以下はあくまで僕の施術してもらったクリニックの例ということで
- クリニック予約: day X - 46
- インターネットを駆使してクリニックを選び、電話で予約
- 初回検査については無料でした(他にも都心だとそういったクリニックは多いようです)
- 初回診療(検査・契約): day X - 43
- 半日くらいかけて色々な検査機械を往復したり、視力検査をしたり
- 瞳孔を開かせる目薬を指してbefore-after検査したりもするので、短時間では終わらないです。前編通して最も長い検査でした
- 検査後、手術可能と診断されたためその場で契約を行い、手術日程と術後検診の日程を調整
- 事前にスケジュール調整可能な日を調べておくとスムーズです
- この日に手術費用の半金を内金として支払
- クレジットカード使いたい人は残高を確認しておいた方が良いでしょう。高額決済なのでポイントもでかいです
- 半日くらいかけて色々な検査機械を往復したり、視力検査をしたり
- 術前検査: day X - 14
- 初回診療ほどではないですが、それなりにみっちり検査しました
- 僕はメガネだったので問題ありませんでしたが、コンタクトレンズを使っている人はこの前後くらいからコンタクトレンズは着用不可のようです
- 術前3日前: day X - 3 ~ X
- 事前に渡された目薬を1日5回点眼します
- 手術前日は確かアルコール摂取禁止だったと思います。まあこの辺は良くある話
- 風呂・サウナはしばらく入れなくなるので入り納めです。要注意
- 手術当日: day X
- 手術については麻酔を点眼して普通に意識のある中行うのですが、眼球にコンタクトレンズがぐぐっと入ってくる感触なんかはなかなか面白い体験でした
- 日帰りではありますが、僕の場合少々前後の患者さんのロットが乱れたのか結局半日くらいかかりました
- 手術当日の帰宅は見え方に慣れていないせいもあり、結構足下がおぼつかない感じでした。両目を同時に長く開けていられないくらい。
- この日から始まる生活制限
- 保護メガネの着用(1週間)。基本起きてる間はずっと着用(就寝時は保護眼帯着用)です
- 微妙に頭のサイズが合わなかったためしばらく窮屈でした
- お酒・アルコール類摂取禁止(1週間)
- 顔への化粧禁止(1週間)※3日目からファンデーションのみ可、アイメイク不可
- 入浴・洗顔・洗髪禁止(1週間)。肩から下のシャワーは可ですが、基本顔に水がかかる可能性のある行為は全面禁止
- 夏場ということもあり、これが一番きつかった
- 1週間後も公衆浴場やサウナについては1ヶ月くらいはいかないでね、と言われました
- 運転禁止(1週間)。通勤・通学で車を使う人は要注意で
- 仕事禁止(2日間)。デスクワークは3日目から可
- 運動禁止(1週間)。激しい運動は1ヶ月後から可
- 保護メガネの着用(1週間)。基本起きてる間はずっと着用(就寝時は保護眼帯着用)です
- その他、別途渡される目薬3~4種を1日4~5回点眼することになります
- 手術翌日検診: day X + 1
- 体感的にはまだ長時間目を開けてるのが辛い感じ。両目ともかなり充血して赤かった
- 検診の時間はそれほどかからず、特に問題なしと言われる
- 手術3日後検診: day X + 3
- 左目は充血が引いたが、右目はかなり真っ赤に充血したまま(接客業とかだときついかも?くらいのレベル)
- まだ目が慣れないので、ディスプレイを長時間凝視するのは辛め
- 検診の時間はそれほどかからず、特に問題なしと言われる
- 手術1週間後検診: day X ~ X + 7
- 多少マシになったが右目はまだ結構赤かった
- 結構慣れてきて、普通にPC作業ができるように
- 検診の時間はそれほどかからず、特に問題なしと言われる
- 一応気になったので右目の充血については聞いてみた所「そんなもんだし、大丈夫よ」と言われる(実際大丈夫でした)
- まだ左目は視力が安定しないようで、1ヶ月後検診でまた様子見てみましょうとなる(これも良くあることのようです)
- 不便だった保護メガネの着用終了、入浴解禁、運動OKなどこの辺からかなり普通の生活を取り戻す
- 手術後2週間: day X + 14
- 右目の充血が完全に引き、生活上はほぼ普通の状態に
- 手術1ヶ月後検診: day X + 40
- 検診の時間はそれほどかからず、特に問題なしと言われる
- 左目視力はほぼ安定したとのこと。個人的には元々矯正に限界のあるタイプの乱視だったので特に気にせず。
- 参考までに、左0.9、右1.5とのことでした
- 検診の時間はそれほどかからず、特に問題なしと言われる
- 手術2ヶ月後: day X + 60 ~
- 本記事を執筆している今現在です。特に何の問題もなく生活できています
- そろそろ無意識にメガネを探す癖が抜けてきました
- 引き続き4種類の点眼薬を一日4回点眼し続けてます(今後3~4ヶ月くらいは継続予定)
なお、手術前の準備から術後半年くらいの間は毎日一日数回複数種類の薬の点眼が継続的に必要です(これもクリニックにより期間に差あり)。これも自宅に引きこもっていると比較的対応しやすいので助かりますね。
メガネのない生活に入ってからの話
その後の所感です。
良くなったこと
この辺は世の中のレーシック体験談とかと大して変わらないと思いますが、個人的に感動したことなどを書いてみます。
- 全体的にメガネのレンズの枠がない分視界(周辺視野)が広がった
- 運動の最中、汗がメガネの内側に落ちてイラっとくることがなくなった
- 傘はいらないかなー程度の小雨でメガネに水滴が付くウザさから解放された
- 風呂・サウナでメガネを置き忘れたりしなくなったので楽
- ベッドで寝がえりを打った時にメガネが干渉しないので気楽
- VRゴーグルを脱着するのが超絶楽になった
- Zoom打ち合わせ等で「コンタクトにしたの?」とちょいちょい聞かれる
今のところ悪くなったことは特に見つからないので、概ね満足です。
運転免許証の条件変更手続き
免許証の条件に「眼鏡等」の記載がある場合、免許証の条件変更手続きが必要です。もし条件変更しないまま裸眼で運転して検問等で引っかかった場合、条件違反として2点+罰金なので気をつけましょう。
免許証の条件変更手続きは各都道府県の案内を検索して探せば良いです。僕の場合は神奈川県で最寄りの警察署で申請・その場で視力検査ののち解除ができました。所要時間は30分もかからなかったです。
確定申告での医療費控除申請
眼内コンタクトレンズ手術(ICL手術)は保険適用外ですが、医療費控除の対象にはなります。金額が大きいため還付・住民税減額金額も万単位となりますのでやらない手はないですね。
医療費控除を受けるには確定申告を行う必要があるので、今年の分は忘れずにやっておきたいところです。
- 参考:ICL治療の医療費控除
※なお、確定申告は過去5年まで遡って申告することができますので、もし去年以前に手術したという人でも還付金を受け取れるチャンスはあります(書類を集めるのは面倒ですが)
まとめ
そんなわけで、自分の体験談ということでまとめてみました。
何度も言うようですが本記事はN=1の非専門家による記事ということで、この記事を見て手術を考えようと思う人は自分でもよく調べるようにしてください。
# その上でどこのクリニックで手術したか気になる人は、Twitter等でこっそり聞いてくれればお教えします