始めに
こんにちは。yosuke2です。
今回は技術的なことではないのですが、軽い自己紹介がてら私が好きなゲームについての話をしようかと思います。
※ゲームと言うとチェスや将棋もそうですし、野球やサッカーなどのスポーツも含まれますが、今回は主にデジタルゲームのことを指してゲームとします。
みなさんはゲームを遊んだことがあるでしょうか。
今の時代だとスマホもあるので結構な数の人が遊んだことがあるのではないかと思います。
私はコンシューマの作品を多く遊んできて、最近はSteamでPCゲームも遊んでいます。
高校は普通科でしたが高校卒業後は専門学校に通い、ゲーム制作を通じてプログラミングを主軸にエンジニアとしての勉強をしていました。
そんな中でゲームを遊ぶ側と作る側を両方経験してきた私は、ゲームというものは単なる娯楽だけには収まらない様々な考え方が活用されていると感じました。
もちろんゲームは遊んで楽しむものですが、娯楽だけではないゲームの違った面を知ってもらえたらと思い今回の記事を書きました。
結論から言いますと、ゲームに活用されている考え方を会社に適用することで社員のモチベーションを高い状態に維持し、今よりも社員の能力が向上すると私は考えています。
ゲームに活用されている考え方とは。
この記事内で伝えたい考え方を書くと、それは以下のようなことです。
※1つ目のみプレイヤー側の問題なので例外的ですが、欠かせない要素なので含んでいます。
- 興味が持てる内容であること
- 能力に合わせて難易度が可変であること
- 安心して失敗できること
- 失敗した原因を正しく認識できること
- 再度挑戦が可能なこと
- 達成感が感じられること
ゲームにも質の良し悪しはありますが、良いゲームは特にこれらの考え方を大事にしています。
以下にこれらの考え方が何故大事かを書いていきます。
1. 興味が持てる内容であること
興味がないとプログラミングを続けることは難しいように思います。
先ほど注意書きもした通り、この項目のみゲーム側ではなくプレイヤー(会社で例えるなら社員)側の問題です。
しかし、最も欠かせないと言ってよい大事な部分です。
この考え方が何故仕事の能力向上に関わるのか。
単純ではありますが、興味のない事柄に対して努力をしようと人は思いづらいからです。
↑のpdfの1 デューイにおける「関心」と「興味」の項目に、以下のような記述があります。
熟慮は、興味がないところでは機械的になり、表面的になるであろう。親や教師は、しばしば、子どもたちが『聞きたがらないとか、理解したがらない』と言って嘆くーーそして、それは正しい。主題(subject)に子どもたちの心がまっすぐ向かわないのは、その主題が、子どもたちの関心に入らないのである。
同PDFより
こればかりはプレイヤー側の問題なので、ゲーム側にできることはありません。
強いて言うなら興味を持っていない人にも興味を持ってもらえるような内容にすることでしょうか。
あまりやりすぎるとターゲット層がぼやけてしまい、既存顧客に良い印象を持ってもらえなくなるので難しいところですが。
しかし会社であれば、社員の興味の持てそうな案件を用意してアサインすることができます。
また部署移動なども1つの手段です。
これで社員が興味・関心の強い業務に従事することができれば、興味のない業務に従事していた時と比較して高い能力を発揮するようになるはずです。
野球が好きなのにサッカーをさせられてもつまらないですよね。
野球が好きなら野球がしたいですし、辛いことがあってもよっぽどのことがない限りは頑張れます。
興味がある仕事ができるかどうかは能力向上において凄く大事です。
仕事なのでそう都合よく好きなことだけはできませんが、極力好んでいる仕事に従事できるようにすると今よりも能力が上がるのではないでしょうか。
2. 能力に合わせて難易度が可変であること
始めは丁寧に
たいていの人は始めはサポートが必要なはず。
初めて遊ぶにも関わらず何の説明もないとどうすればいいのか困りますよね。
良いゲームは、始めは丁寧に分かりやすくゲームのルールを教えて、プレイヤーに学んでもらいます。
チュートリアルが無かったとしても、始めは何もないところで安心してキャラクターを簡単に動かすことができたりなど、いきなり本番、というものはあまり無いように思います。
会社でも入ってきた新人が何の説明もないと、この会社ではどのように仕事を進めていくのかも知らないし、周りが当然のように話している単語も全く分からないこともあります。
どの程度サポートをするかは人が足りているかなどの会社の体制と要相談ですが、サポートが全くない、またはあまりに少ないと新しく入ってきた人は辛くなってしまいます。
まずは簡単なところから
初心者にこのハードルは高いです。
初めての人に丁寧に説明をしました。
しかし、いくら説明をしたとしてもゲームを開始していきなり最強の敵が出てきたら勝てないですよね(いわゆる負けイベントと呼ばれる演出は例外ですが)。
なので良いゲームは始めは簡単にし、難易度を徐々に上げていき、それと同時に説明もなくして、得た知識を基にプレイヤーが自ら考えて動いていけるように作られています。
会社でも、新人にいきなり納期が短くて今までその人が触れたこともないようなプログラミング言語やフレームワークの仕事を任せるとかなり辛いと思います。
始めは納期に余裕がある仕事を任せ、徐々に仕事の進め方にも慣れていって、やがて説明が無くても1人で色々とできるようになる。というのが理想だと思います。
ほどよい手ごたえも大事
始めはこれでいいかもですが、ずっとこの低さだと簡単過ぎて成長しなさそうですね。
丁寧に説明もし、簡単なところから始めて徐々に難易度も上げてきました。
しかし、比較的簡単なところで難易度の上昇が止まってしまうとプレイヤーの中には簡単過ぎてつまらないと思う人が出てきます。
際限なく上昇されても困りますが、かと言って簡単過ぎるところで停止されても手ごたえが無さ過ぎると感じる人が出てくるのです。
会社では、この会社にいても技術力が身に付かないからもっと技術力の高い会社に行って成長したい。という人がこれに当てはまるように思います。
この考え方に関しては社員の能力向上に繋がる考え方というよりかは、能力向上をした結果社員が別の会社に行ってしまうという会社全体の能力向上に繋がる問題です。
会社全体の技術力と要相談な内容ですが、あまりに簡単過ぎる業務内容ばかりだと良い人材が止めてしまうという悲しいことが起こってしまう可能性があるので、今までやったことのない領域の仕事なども少しずつは挑戦することが大事なのだと思います。
この項目は少し長くなってしまいましたが、まとめると人それぞれ能力は違うので、人に合った仕事をしてもらうのが一番。ということです。
新人に凄く難しい仕事をさせると本人が辛いですし、ベテランに簡単な仕事ばかりをさせると転職したいと言う人が出てきます。
実際はこんなに単純ではなく、会社が気に入っているだとか家族がいて簡単には転職できないだとか様々な要因がありますが、本人の能力に見合った仕事をしてもらうのが会社も社員もお互い幸せになれるのだと思います。
3. 安心して失敗できること
命綱は欲しいですよね。
失敗した時には当然何らかのデメリットがあります。
ゲームでは代表的なのがゲームオーバーです。
最近のゲームではたいていセーブ機能があるのでその時点まで戻りますし、古いゲームだとセーブが無かったりして一番始めからになったりします。
しかし、例えばセーブ機能のあるゲームでほとんど最後まで進めたにも関わらず、最後の敵に負けてしまうとセーブデータが消されてしまうというデメリットがあるとどうでしょうか。
もし負けるとそれまで積み上げてきたものが全て消えてしまいます。
デメリットとしてはこれはやりすぎです。
セーブ機能があるということはある程度には長いゲームという訳で、そんなゲームでこれをやるとプレイヤーは負けた途端にまた始めからかと投げてしまう可能性が高いです。
もし事前にこのデメリットを知っていれば、最後の敵に向かわずにそれ以外の部分で楽しもうとする人も出てくるかもしれません。
当然現実でも失敗をすればデメリットはあるのですが、あまりにもデメリットが大きいと業務に支障が出ます。
事前にデメリットを知らされた上でやるかどうかを訊かれた場合は、デメリットを恐れて挑戦することを避ける人が多いでしょう。
そのため失敗した時のデメリットは可能な限り抑えておきたいところです。
いわゆるリスクマネジメントです。
もちろん社員1人1人にもその意識を持ってもらえるのが一番ですが、会社の体制である程度は解決できてしまうのであればその点はリスクマネジメントを仕組み化してしまうのが良いと思います。
一度仕組みにしてしまえばこのルールに沿って行えばいいとなるので、個人の裁量に任せるよりかは安定するはずです。
まとめると、デメリットを失くすことは不可能なのでできるだけ小さくしてそこまで気負わずに挑戦できることが大事ということです。
挑戦ができないと「能力に合わせて難易度が可変であること」でも書いたように、人材の流出に繋がる可能性も出てきます。
またそもそもの問題として挑戦をしないことが失敗に繋がることもあります(今まで好調で売れていた製品が売れなくなり収入が減ってきたりなど)。
挑戦しないことが失敗だったと認識できる状況になると、場合によってはこの次の製品が売れないと会社が持たないなどと安心して失敗できる環境では既になくなっているため、そうなる前に手を打っておきたいところです。
4. 失敗した原因を正しく認識できること
あの時鉛筆の面がこうだったなら...は正しくないはず。
安心して失敗した後は何故失敗したかの原因を正しく認識できることが大事です。
良いゲームでは、失敗した後すぐに画面が切り替わってしまうことがありません。
失敗した直後の数秒はその時の画面を映したままにして、何故失敗したかを認識させてくれます。
代表的なものだとスーパーマリオブラザーズの失敗時で、まず今まで流れていたBGMが止まり、敵に接触した際のサウンドが流れることで状況が変わったことを知らせます。
その後失敗時の短い音楽が流れてようやく画面が切り替わりますが、この間が失敗時の原因を正しく認識するための時間として設けられています。
現実では音楽などは流れないですが、失敗した時に何が悪かったのかを認識することで次も同じ失敗をしないように気を付けることができます。
失敗から学ぶ訳です。
誰かが失敗した際に感情論でやる気が無かったなどと叱責するのではなく、何故こうなったかをしっかりと一緒に考えることが次に繋がる生産的な仕事の仕方だと思います。
5. 再度挑戦が可能なこと
失敗から学んだ後は挑戦したくなります。
安心して失敗して、失敗から学んだ後は再度挑戦できることが大事です。
敵に負けても直前から再開できるので安心して失敗ができます。何故失敗したかの原因も確認しました。
そして再開した後、二度と挑戦ができなかったらどうでしょうか。
凄くもやもやしますし、もう一度挑戦して今度こそと思う人が多いはずです。
仕事でもこれは同じで、安心して失敗して学んだ後はたいてい再挑戦して今度こそは成功したいと思う人が多いはずです。
それなのに、この前失敗したからと二度と同じ仕事や類似の仕事をさせてもらえないとモヤモヤしますし、何より失敗から学んだことを活かせないため成長に繋がりづらいです。
インプットしたらアウトプットできる機会が必要です。
6. 達成感が感じられること
頑張った後は自分で自分を認めることも大事ですし、他人にも認めてもらいたいものです。
興味を持って、段階的に学んで、失敗して、失敗の原因を分析して更に学び、再度挑戦しました。
その結果成功したら凄く嬉しいですよね。
良いゲームではその評価のため、ランクだったりスコアだったりと数値などを活用して明確な評価指標を出してくれます。
ランクやスコアでなくとも、何らかの達成感を得られる仕組みが良いゲームには組み込まれています。
コレクターの欲をそそるアイテム集めなどもその一種で、一覧が見れる場合全部集めたという達成感が得られます。
物語があるようなゲームだと最後まで進めたらハッピーエンドを迎え、エンディングテーマとスタッフロールと共に感傷に浸ることができます。
仕事では給料やボーナスが一番分かりやすい評価指標ですね。
他にも社内で独自にスコアを作っているような会社もあるかとは思いますが、いくら頑張っても会社から評価されない場合はやはり辛い人が多いはずです。
頑張って今までよりも成果を出しているはずなのに給料が上がらない、周りに評価されないとなると社員のモチベーション低下に繋がります。
そうなると頑張っても無駄だと感じて頑張ることを止めてしまったり、最悪他の会社に行ってしまうことになります。
そうならないためにもきちんと評価をしていることを何かしらの方法で伝えることが必要です。
最後に
ゲームというものは他にもプレイヤーのモチベーション維持のため様々な工夫があります。
ゲームを始めた時にチュートリアルがあったりしますが、最近は如何にチュートリアルをチュートリアルと思わせないかという工夫がされている作品が出てきています。
〇ボタンを押すとこうなる。□ボタンを押すとこうなる。という淡々としたチュートリアルをゲーム内キャラが行ったりするものがありますが、人によってはコントローラの話をゲーム内のキャラにされると現実に引き戻され、ゲームの世界に入り込むことが難しくなるためです。
少し古い作品ですが、ノーティドッグのThe Last of Usなどはチュートリアルと感じさせずゲームの世界に浸ったまま上手く操作の練習をさせてくれた覚えがあります。
挙げ始めたらキリがなくなってしまうので、特に大事だと感じてかつ現実と比較して分かりやすいだろうと感じる点をピックアップしました。
ゲームというものは、プレイヤーに如何に楽しくゲームのルールを学んでもらい、如何に楽しく挑戦と失敗を繰り返してもらうかが大事です。
始めに楽しく学習してインプットし、その後は楽しく挑戦と失敗を繰り返すことでインプットとアウトプットを繰り返す。これがゲームの本質であると考えています。
楽しむことに焦点を当てて会社で仕事をしたり、学校で勉強をすることで今以上の能力を身に付けやすくなると思います。
普段何気なく遊んでいるゲームですが、本当に様々な工夫がなされて作られていて、こんな視点でゲームを見ることもできるのだということを知ってもらえたら嬉しいです。
以上、読んでいただきありがとうございました。
おたより発掘
ゲームの人の惹きつけ具合って教育とかサービス開発とかでも転用できるよなー、と漠然と考えていたところにこの記事。とても勉強になりました。特に4はあまり考えたことなかったな。
ゲームで活用されている考え方とモチベーションの維持に関して https://t.co/XYeDBMqdvb
— ちゅーやん - Tsuyoshi Chujo (@chooyan_i18n) August 19, 2019