morimorihogeです。夏のTechRachoフェア2023、お楽しみ頂けているでしょうか。段々夜が短くなってきて少しだけ暑さが和らいできた昨今ですね。僕からは久々に作業環境を更新したのでそちらについて紹介します。
🔗 問題意識
某感染症の厳戒態勢も徐々に解かれ、基本はフルリモートのままとはいえ打ち合わせ等でたまに外に出ることが増えてきました。before某感染症時代はそこそこの頻度で出歩いていたので普通にノートPCを持ち歩いていたのですが、外出頻度が下がったことによりせっかくだし作業環境を更新しようと思い立ちました。
というわけで、例によって抱えていた問題意識の洗い出しです。
- 以前までは会社用のThinkPad 1台を持ち歩けば良かったが、顧客貸与端末で作業する案件などもあり、もう一台持ち歩く必要が出た。出張とかならともかくPC2台をカジュアルに持ち歩くのは重すぎる
- 会社用PC環境をなるべく物理的に軽い環境にしたい
- バッグも昔にくらべて小さくした(20L -> 15L)ので、物理的な大きさも小さい方が良い
- 突発の障害対応や急ぎのコードレビューなど、それなりには作業できる環境である必要がある
- 昔はSSHさえできればほとんどの作業ができたが、現代ではGitHubだったりAWS Management Consoleだったりで結局デスクトップGUI環境が必要になることが増えた
- コード書いたり読んだりするのであれば、最低限フルHD(1920x1080)解像度くらいは欲しい
- 世間的なリテラシとして、publicなスペースでPCを開いて作業するのがやや憚られるようになってきている
- 高解像度が当たり前になったスマホカメラで作業中のPC画面を撮影されるリスクは今後も増えることはあれど減ることはなさそう
- publicスペースで作業すべきでないという話はあるが、そうもいかないケースはあるので避けられるリスクはなるべく低減しておきたい
🔗 小型PC+ARグラスという選択
というわけで色々と検討した結果、小型ポータブルPC(ASUS ROG ALLY)+外部ディスプレイとしてARグラスであるXREAL Airを使うという構成にしてみました。
※他にも色々と検討はしたのですが話が逸れるので最後の方に記載しておきます。
ROG ALLYは扱いとしてはWindowsを搭載したポータブルゲーム機ではあるのですが、普通にWindowsがインストールされているのでゲーム機専用というわけではありません。似たような類いでGPD WINなんかもありますが、ちょうど新しく出たZen4ベースのマシンで、かつスペックにしてはお値段がなかなか手頃ということで選定しました。
XREAL AirはいわゆるUSB Type Cコネクタ経由でDP Alt modeに対応した外部ディスプレイ型ARデバイスです。
メガネ型デバイスを装着すると外の風景の手前にディスプレイが映し出されるというタイプのデバイスですが、言ってしまえばメガネ型の外付けディスプレイみたいなものです。
いわゆるVRゴーグル系のデバイス(Meta QuestとかHTC VIVE)とは違い、視界全体を塞ぐのではないのがこの手のデバイスの特徴ですね。
- 専用アプリ・デバイスが不要でDP Alt modeに対応した端末であればOS問わず接続可能
- 電源もUSB Type Cコネクタから取るため、バッテリー等の持ち歩きが不要
- 解像度がフルHD(1920x1080)出せるという条件で絞ると、同価格帯の他機種に比べると安い(メルカリで40,000円でした)
- 装着時の外見がギリギリ大きめのサングラスくらいに見えなくもない(THE ARグラスみたいな見た目ではない)
- それなりに流通しており、人柱の皆さんの評価を見る限り概ね好評
なお、最近発売されたXREAL Beamを接続するとワイヤレスでの画像転送や、センサによって画面を地面に対して並行に固定したりすることができるようですが、僕の用途ではそこはそれほど欲しい機能ではないので特に興味は(今の所)ないです。
🔗 実機で接続してみた所感
実際に接続してみるとこんな感じです。ROG ALLYのUSB CポートにXREAL Airを接続しただけで自動的にXREAL Airがプライマリディスプレイになり、ROG ALLYのディスプレイが消灯します(<- ここ重要)。
小さくて見えないぞ!という人向けにディスプレイ部の拡大画像も。
XREAL Airの見え方のイメージについては余所のレビューなども参考にしてもらいたいですが、体感としては「そこそこ遠い距離のやや視線上の方にディスプレイが現れる」という感じです。そのため、普段ノートPCで作業している場合は「画面遠いなあ」と感じると思います。
フルHD解像度の視認性ですが、最初は前述の理由でなかなか焦点が合わない感じになるのですが、慣れてくるとしっかり焦点が合うようになり、そうすると1ドット単位の文字が普通に見分けられるレベルのくっきり解像度になります。RubyMineやGitHubでソースコード読んだりコメントしたりは普通にできる感じです。こればかりは個人差もあるので興味のある人は体験会とかで体験してみるか、NTTドコモ系列のkikitoという家電レンタルサービスでレンタルしてみるといいかもしれません。
なお、XREAL Air自体がメガネ型なこと、ディスプレイが投影される位置がやや遠目なこともあり、視力低めの人だと小さい文字がくっきり読めないようです。その場合、度付きインサートレンズの追加購入なりコンタクトレンズの併用を検討するなりする必要があるでしょう。
僕はこんなこともあろうかと視力改善済みだったので問題ありませんでした。
🔗 実際に持ち歩く際のイメージ
ROG ALLYとXREAL Airはそれぞれケースにいれるとこんな感じです。
ケースと本体のサイズ感はこんな感じ(XREAL Airのケースは旧社名時代のものなのでNrealの名称になっています)。
これに加え、折りたたみ式のBluetoothキーボードと、
小型のBluetoothマウスを持ち歩いています。
全体重量としては、
- ROG ALLY: 608g(ケース含まず)
- XREAL Air: 79g(ケース・ケーブル含まず)
- iClever Bluetoothキーボード 折りたたみ式: 174g
- エレコム マウス Bluetooth (iOS対応) Sサイズ: 40g
で、合計901g(ケース・ケーブル等含まず)になりました。一般的なA4ノートPCが1.1kg前後であることを考えるとそこそこ良い勝負なのではないでしょうか。
A4ノートPCと異なり本体がA4板状でないためバッグに入れる時の自由度が高いという利点もあり、PC2台持ち前提で持ち歩く際にバッグのPC入れ部分がパンパンになるということもなくなりました。
🔗 実際に利用した上での所感
ノートPCと違い、バッグからパッと出して使うというのができないのはやや不便ではあります。
- XREAL Airを取り出して装着
- XREAL AirをROG ALLYに接続
- ROG ALLYの電源をON
- ワイヤレスキーボードを取り出す(マウスも必要なら)
ただ、一度セットアップしてしまえば作業には不自由しないし、何よりのぞき込み・隠し撮りの心配がないのでパスワードとか機密っぽい情報をディスプレイに出しても心配がないのがありがたいところです。
また、XREAL Air自体はDP出力さえできるなら特にデバイスの種類を選ばないので、MacBookに接続してディスプレイ輝度を最低にすれば、MacBookの外部ディスプレイとして使うことも可能です。
XREAL Airのバッテリーは接続するROG ALLY側のバッテリーに依存しますが、今の所は最小電力モードでしか使っていない(RDPで作業するのでROG ALLY本体はほぼ通信しかしない)状況だとかなり余裕がある感じです。2時間使ってもまだまだ余裕そうでした。
唯一キーボード・マウスについては悩み所で、打鍵感や快適性からはTrackpoint Keyboard IIを使いたいのですが、これは重い(516g)ので、もう少し軽くて良いトラックポイント付きキーボードがあれば乗り換えたいかな、というところではあります。
🔗 その他のFAQ
色々と説明を省略したことに関するFAQです。
🔗 PC(ROG ALLY)側の選定について
🔗 Android端末、iPadとかならもっと軽くなるのでは?
- RDP環境で開発することを考えるとWindows環境である必要があった。具体的にそれぞれ以下の点で厳しい
- Android: Android版RDPアプリ(というかAndroid OS)がいけてない。Alt + TabするとRDP内ではなくAndroid側のアプリ切り替えが起動してしまい、自分の使用感では使い物にならないのでNG
- iOS: Android版RDPアプリより出来が良いが、日本語入力がiOSに取られてしまい極めて使いにくい。閲覧メインなら良いが、ガッツリドキュメント書いたりには不向き
- Chromebook: 良いかも知れないが知見がなく、手頃なサイズのものがあまり思いつかず未検討
- Steam Deck(カスタマイズ版Linux): 今更Zen 2のマシン買う理由がないので却下
- ROG ALLYは発売したてのZen 4アーキテクチャだし、ASUSならそんなに悪いもんでもなかろうという期待で購入
🔗 具体的に不便な点は?
- カメラがないのでリモートMTGとかで顔が出せない
- USB-C/DPポートが電源共用の1ポートなのが地味に辛い
- DP側出力しながら充電ができない
- 打ち合わせ等で共有ディスプレイに出力するとポートが足りずXREAL Airは併用できない
🔗 使ってみて初めて気づいた良い点は?
- ノートPCと違いディスプレイを広げる領域が不要なので、狭めの車の中などでディスプレイを開きづらい環境でも問題ない
🔗 ARグラス(XREAL Air)側
🔗 見え心地は?周りが明るくても見える?
- 最大輝度にすると普通に昼間でも実用レベルで見える。レンズ側が遮光グラスになっているのも影響してるかも
- 本体標準機能のみだとトラッキング機能はないので、ARグラスを動かす(頭を傾ける)と画面も同じように動く
🔗 まとめ
というわけで、ARグラスをモバイル環境の外部ディスプレイとして持ち歩いて利用するという話でした。
まだまだ一般的ではないデバイスですが、のぞき込みの心配が無い点や色々なデバイスに使いまわしできるという点などでメリットも大きいので、興味があれば試してみるといいかもしれません。ではでは。