こんにちは。
今回から午後Ⅱの問2に入ります。
もう一息で平成30年度 春期分の解説記事が終わります(執筆が中途半端な所からなのは悪しからず)。
今回も難易度高いですので、頑張って行きましょう〜!
解説範囲
平成30年度 春期 データベーススペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2(p21〜p30)
⚓ 設問(1)
表1中のア, イに適切な字句を入れて, 表を完成させよ。
p30
p.24「表1 ユニット受注と引当結果の判断の決定表」をご覧下さい。
決定表(ディシジョンテーブル)の空所補充問題です。
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験でも出題される基本事項ですが、読み解き方を忘れてしまっている方は今一度リンクより確認しておくことをお勧めします。
(ディシジョンテーブルの例がひと昔前の理想の男性な気がしますが、今だと「3低 - 低姿勢・低依存・低リスク」なのでしょうかね?)
ア
アを行う条件は以下の3つです。
- 内製ユニットを受注したか -> YES
- 所要量展開の結果、内製ユニットを製造するのに必要な中間仕掛品を全て引き当てできたか -> NO
- 所要量展開の結果、内製ユニットを製造するのに必要な構成部品を全て引き当てできたか -> YES
条件2のみ満たされていませんが、この場合に行うことは何でしょうか。
p.24の「(3) 所要量展開」の④を見ると、以下の通りの記述があります。
④ 在庫引当後, 中間仕掛品が不足する場合には, 後述する製造指図を行い(以下省略)
p24
この部分が解答の根拠になります。
よって、アには「中間仕掛品の製造を指図する」が入ります。
イ
イを行う条件は以下の3つです。
- 内製ユニットを受注したか -> YES
- 所要量展開の結果、内製ユニットを製造するのに必要な中間仕掛品を全て引き当てできたか -> YES
- 所要量展開の結果、内製ユニットを製造するのに必要な構成部品を全て引き当てできたか -> NO
条件3のみ満たされていませんが、この場合に行うことは何でしょうか。
p.24の「(3) 所要量展開」の④を見ると、以下の通りの記述があります。
④ (一部省略)構成部品が不足する場合には, 後述する発注を行う。
p24
この部分が解答の根拠になります。
よって、イには「構成部品を発注する」が入ります。
⚓ 設問(2)
表2中の, 太枠内は未完成である。太枠内について, 各品目が対応するサブタイプの欄に"◯"印を入れて, 表を完成させよ。
p30
p.27「表2 各品目とサブタイプの対応関係」を見ると、以下のような表があります。
品目 \ サブタイプ | 受注品目 | 投入品目 | 製造品目 | 発注品目 |
---|---|---|---|---|
全体設計 | ○ | |||
内製ユニット | ○ | ○ | ||
購買ユニット | ||||
中間仕掛品 | ||||
構成部品 | ||||
専用すり合せ部品 | ||||
汎用すり合せ部品 | ||||
ソフトウェア | ||||
設置・試運転 |
当該品目がサブタイプに対応する場合、購買ユニット〜設置・試運転の空欄に"○"を記入するという問題です。
品目とその意味をp.22「4. 品目・在庫 (1) 品目」の②を基に整理すると、以下の通りです。
品目 | 意味 |
---|---|
受注品目 | 得意先から受注する品目 |
投入品目 | 製造に必要な品目 |
製造品目 | 自社で製造する品目 |
発注品目 | 仕入れ先に発注する品目 |
購買ユニット
まず、「ユニット」とは何かについて、問題文中の定義を確認しておきましょう。
p.21「1. 業務の全体像 (1)」の①をご覧下さい。
① ユニットとは, 製菓ラインにおける主要な設備のことであり, 混合ユニット, 成形ユニット, 焼成ユニットなどがある。自社で設計・製造するユニットのことを内製ユニットといい, 他社から仕入れるユニットのことを購買ユニットという。
p21
p.23の②と1つ目のlist項目をご覧下さい。
② 受注に当たって, 商談段階から行なっていた全体設計を確定し, 必要なユニット, すり合せ部品, ソフトウェア, 設置・試運転を明確にする。
・ユニットについては, 品目として登録されていなければ登録する。
p23
受注の段階で必要な内製ユニットと購買ユニットを明確にし、登録されていなければ受注品目として登録します。
⑤の受注明細の中に「ユニット受注明細」があることも根拠になります。
よって、「受注品目」に○が入ります。
すでに全体設計と内製ユニットの受注品目に○が入っているのは、同じく上記が根拠になります。
次に、p.23の③の(ⅱ)をご覧下さい。
(ⅱ) ユニット受注明細には, ユニットが製菓ラインの何番目で使われるのかを表す工程表を記録する。内製ユニットの場合は受注明細を基に製造を指図する。購買ユニットの場合は仕入先に発注する。
p23
また、p.25「(5) 発注」の②に「ユニット発注」があることも根拠になります。
上記が根拠となり、「発注品目」にも○が入ります。
すでに内製ユニットの発注品目に○が入っているのは、同じく上記が根拠になります。
中間仕掛品 / 構成部品
p.21「1. 業務の全体像 (2)」をご覧下さい。
(2) ユニットを構成する部品(以下, 構成部品という)は, 全て他社から仕入れている。構成部品を幾つか組み合わせたものを, 中間仕掛品という。
p21
構成部品は他社から仕入れている、つまり発注をしているので、構成部品は「発注品目」に○が入ります。
p.25「(5) 発注」の②に「構成部品定量発注」と「構成部品都度発注」があることも根拠になります。
そして、中間仕掛品はどこで組み合わされているのでしょうか?
E社、つまり自社です。
よって、中間仕掛品は「製造品目」に○が入ります。
次に、p.22「4. 品目・在庫 (2) 在庫」の①に目を転じて下さい。
① 投入品目である中間仕掛品と構成品目は在庫をもつ。
p22
上記が根拠となり、中間仕掛品・構成部品ともに「投入品目」に○が入ります。
専用すり合せ部品 / 汎用すり合せ部品
まずは、すり合せ部品について、問題文中の定義を確認しておきましょう。
p.21「1. 業務の全体像 (1)」の②をご覧下さい。
② すり合せ部品とは, ユニットを工場に設置する際に, ユニット同士の接続, 及びこうじょうの建屋・既存設備とユニットの接続に使用される部品のことである。
p21
次に、p.23上部の②と2つ目のlist項目をご覧下さい。
② 受注に当たって, 商談段階から行なっていた全体設計を確定し, 必要なユニット, すり合せ部品, ソフトウェア, 設置・試運転を明確にする。
全体設計, すり合せ部品, 設置・試運転については, 受注ごとに固有なので, この時点で品目として登録する。
p23
受注時点ですり合せ部品は品目登録されるので、専用すり合せ部品・汎用すり合せ部品ともに「受注品目」に○が入ります。
⑤の受注明細の中に「すり合せ部品受注明細」があることも根拠になります。
続いて、p.23下部の(ⅲ)の3つ目のlist項目をご覧下さい。
すり合せ部品設計には, 汎用品を使うか専用品が必要かを区別する専汎区分を記録する。汎用すり合せ部品を使う場合は仕入れ先に発注し, 専用すり合せ部品が必要な場合は製造を指図する。
p23
上記が根拠となり、汎用すり合せ部品は「製造品目」に○が入り、専用すり合せ部品は「発注品目」に○が入ります。
ソフトウェア
まずは、ソフトウェアについて、問題文中の定義を確認しておきましょう。
p.21「1. 業務の全体像 (1)」の③をご覧下さい。
③ ソフトウェアとは, 製菓ライン全体をコントロールするプログラムのことである。
p21
次に、p.23の②と3つ目のlist項目をご覧下さい。
② 受注に当たって, 商談段階から行なっていた全体設計を確定し, 必要なユニット, すり合せ部品, ソフトウェア, 設置・試運転を明確にする。
・ソフトウェアについては, 詳細仕様が異なっていても基本仕様が同じであれば, 同じ品目とみなす。品目として登録されていなければ登録する。
p23
受注の段階で必要なソフトウェアを明確にし、登録されていなければ受注品目として登録します。
⑤の受注明細の中に「ソフトウェア受注明細」があることも根拠になります。
よって、「受注品目」に○が入ります。
続いて、p.24上部の(ⅳ)をご覧下さい。
ソフトウェア受注明細には, 詳細仕様を記録する。同じ品目であっても, 製造部門の要員状況に応じて, 製造を指図するか, 仕入先に発注するかを決める。
p24
p.25「(4) 製造指図」の②に「ソフトウェア製造指図」、「(5) 発注」の②に「ソフトウェア発注」があることも根拠になります。
よって、「製造品目」と「発注品目」にも○が入ります。
設置・試運転
p.23上部の②と2つ目のlist項目をご覧下さい。
② 受注に当たって, 商談段階から行なっていた全体設計を確定し, 必要なユニット, すり合せ部品, ソフトウェア, 設置・試運転を明確にする。
全体設計, すり合せ部品, 設置・試運転については, 受注ごとに固有なので, この時点で品目として登録する。
p23
受注時点で設置・試運転は品目登録されるので、「受注品目」に○が入ります。
⑤の受注明細の中に「設置・試運転受注明細」があることも根拠になります。
⚓ 設問(3)
図1中のあ ~ うに入れるエンティティタイプ名を答えよ。
また, 図1中で欠落している, リレーションシップ及び発注のサブタイプを補って, 概念データモデルを完成させよ。
p30
あ
p.21「3. 取引先 (3)」をご覧下さい。
(3) (一部省略)取引先が得意先と仕入先のどちらに該当するかは, 取引先区分で分類している。
p21
上記より、取引先は「得意先」か「仕入先」のいずれかに該当することが分かります。
p.28「図1 概念データモデル(未完成)」を見ると、「仕入先」はすでに入っていますので、あには「得意先」が入ります。
い
p.29「図2 関係スキーマ(未完成)」のいを見ると、主キーが商談#
です。
問題文中の商談#
がキーワードある付近に答えがあるだろうと当てをつけて探してみると、p.22「5. 業務の内容 (2) 受注」の①に解答の根拠を見つけることが出来ます。
① (一部省略)1件の商談で複数の受注が発生することもある。
p22
p.28「図1 概念データモデル(未完成)」を見ると、いと受注は「1対多」であり、上記の内容と一致します。
よって、いには「商談」が入ります。
う
p.26「(6) 入荷」の②をご覧下さい。
② 1件の発注において, 仕入先の在庫不足などで, 数量の一部だけが入荷され, 入荷が分割されることがある。ただし, 複数の発注が1件の入荷にまとめられることはない。
p26
まず前半部分ですが、仕入先の在庫状況により、入荷が複数回に分割される場合があると解釈出来ます。
そして後半部分では、複数の発注が1件の入荷にまとめられることはない、つまり入荷に対しては必ず1件の発注という関係になると解釈出来ます。
つまり、発注と入荷は「1対多」の関係にあります。
p.28「図1 概念データモデル(未完成)」を見ると、発注とうは「1対多」であり、上記の内容と一致します。
よって、うには「入荷」が入ります。
今回の設問の解答
- 設問(1)
- ア. 中間仕掛品の製造を指図する
- イ. 構成部品を発注する
- 設問(2)
品目 \ サブタイプ | 受注品目 | 投入品目 | 製造品目 | 発注品目 |
---|---|---|---|---|
全体設計 | ○ | |||
内製ユニット | ○ | ○ | ||
購買ユニット | ○ | ○ | ||
中間仕掛品 | ○ | ○ | ||
構成部品 | ○ | ○ | ||
専用すり合せ部品 | ○ | ○ | ||
汎用すり合せ部品 | ○ | ○ | ||
ソフトウェア | ○ | ○ | ○ | |
設置・試運転 | ○ |
- 設問(3)
- あ. 得意先
- い. 商談
- う. 入荷
参考ページ
- 平成30年度 春期 データベーススペシャリスト試験 - IPA情報処理推進機構 - 最終アクセス日: 2019年02月18日
- ディシジョンテーブル - ITmediaエンタープライズ - 最終アクセス日: 2019年02月27日
次回解説予定範囲
平成30年度 春期 データベーススペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2 設問(3) 概念データモデル - 設問(4)