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アリエクの怪しい自作PCキットを買ってみた

🔗 はじめに

本記事は、YouTube吉田製作所さんの動画「【中華の闇】1万円台の「18コア/ゲーミング自作PCキット」がヤバすぎるwww【AliExpress】」の後追いをさせてもらった記事になります。

要約すると「アリエクの怪しげな自作PCキットを買ったけど、何の問題もなく快適に動いてるぞいえーい」という記事です。

🔗 AliExpressの自作PCキット

趣味と実益を兼ねて自作サーバを立てて色んなことをやっているのですが、低速だが並列処理を大量にこなせる安価なサーバが欲しくなるシチュエーションがあるんですよね。冒頭の吉田製作所さんの動画は私の需要にドンピシャでした。

ということで、以下を買ってみました。


(リンクはこちらですが、将来リンク切れになっていたらごめんなさい)

マザーボードは Machinist E5-RS9 というあまり聞かないマザーボード。ググっても公式ページが出てきません。怪しい。CPUはXeon E5 2683 v4。16コア32スレッドです。メモリも32GB付属しています。怪しさ満点ですが、このお値段でこのコア数と3点セット。使い道があるのでは?(私が購入した2023/6/22時点では16,212円でしたが、上の写真は記事執筆時点の価格です。だんだんお安くなっていっていますね)

ということでギャンブルというか、ガチャの気分でポチりました。

ちなみに25,000円~30,000円くらいの価格帯には20コア超えの同じようなセット商品や、デュアルCPUのマザボ&CPU2個&メモリのセットなどもありましたが、いきなり冒険も怖いので今回はそこそこの価格帯でのチャレンジになります。

🔗 到着、開封

数週間後、中国から怪しげな小包が届きました。アリエクお馴染みの破きにくいビニール袋ですね。

袋の中にはマザーボードのパッケージ1つのみ。知らないメーカーですが、パッと見はマトモな装丁です。

袋を開いてみたら部品表?納品書?に品名が書かれておりました。いちおう正しく届いたように見えます。

マザーボードのマニュアルが入ってました。紙ペラ1枚の4ページ。フォントもバラバラですね。

メモリはぷちぷちに包まれていました。新品の赤いガワにはメーカー名が入って綺麗に見えますが…たぶん中身は中古なんじゃないかな? 開いて確かめたわけじゃないですが、価格帯を考えると…。

さてマザーボードを見てみよう…と思ったら、ちゃんと封印シールが貼ってありました。New product guarantee と書いてありますが、さてどうでしょうか。

さてマザーボード全景の写真を取り忘れましたが、ピカピカで私の感覚では新品に見えました。普通のマザーボードなら装着されているであろうボタン電池だけがありませんでしたが、これは中国から輸送する時の規定で電池を外さないといけないみたいですね。

CPUはマザーボードに装着済みで届きました。つまり新品マザーボードにCPUを装着させて袋に入れて、封印シールを貼ってるわけですね。なおCPUはプリントされている型番は注文通りですが、微妙な汚れや傷があるので中古ですね。まあお値段相当と言うべきですね。

🔗 他の買い物

到着した部材だけでは動かないので、追加で以下を購入しました。

今回は実験と考えて普通のケースではなく、買ったことが無いオープンフレームを買ってみました。これも中華製だったのですが組立順序がシビアだったりマザーボードの全ネジが綺麗に装着できなかったり、そこそこ難がある製品でした。今回とは別件で長尾製作所さんのオープンフレームも買ったのですが、こちらの方が組み立てやすいし格段に質の良い製品でしたね。ただ中華製フレームが4,740円、長尾製作所さんのが13,486円なのでお財布と相談ですね。中華製フレームでも用は足りてますしね。

CPUクーラーにはファンレスのものを買いました。これも初体験の製品で、もう何でもかんでも実験だゴーゴーの精神です。CPUグリスを塗って普通に装着です。

🔗 動かしてみました

さて一通りの部材が届いたのでBIOS画面を確認。普通にスペック通りのCPU型番と能力が出ています。

マシンにProxmoxVEをインストールしました。これは仮想化環境を作るためのプラットフォームで、似たような製品としてはVMWare ESXiがありますね。インストールが終わって確認すると、CPUとメモリーが正しく認識されています。(実際は最新版のProxmox8を入れたかったのですがドライバのトラブルのためかインストーラーが起動せず、代わりに一世代前のProxmox7.4-3を入れてます)

これにUbuntu22のVMを作成して一ヶ月近く動かしていますが、何事もなく普通に稼働しています。またファンレスCPUクーラーで大丈夫かいなと思ってましたが、記事執筆時点で猛暑が続いておりサーバ設置場所の廊下は37℃に達していますが一度も熱暴走でおちることもなく、そのUbuntu22VMには仮想コア32個中24個を割り当てて24時間常にロードアベレージが10~30を推移するような作業を割り当ててますが、元気にこなしています。

🔗 費用

総費用は以下の通りです。

品目 お値段
CPU/メモリ/マザボセット 16,012円
CPUクーラー 4,883円
NVMe SSD(2TB) 10,296円
電源BOX 8,143円
フレームケース 4,740円

合計が44,074円でした。普通の自作野郎なら余ったCPUクーラーやケースや電源BOXが転がっているでしょうから、流用すればもっと安く済むでしょうね。

🔗 終わりに

もう少しトラブルがあって「ふざけんなこれだからアリエクは信用できねんだ!」みたいなオチがあると良かったのですが、びっくりするくらい良い買い物でした。

ちなみに冒頭の吉田製作所さんの動画ではWindows10をインストールして各種ベンチマークをしていますが、こちらも普通に動いているようです。ただしCPUとしては古くシングルコア性能が出ないため、例えば最新3Dゲームをこの環境で遊ぶなどメインマシンとして活用するのはちと躊躇われますね。私のように低速で大量の並列処理が必要なサーバが欲しい人には、とても良い買い物でした。

なおこの怪しいセットがいつまで販売され続けるか分からないので、このお値段ならもう1セット予備として確保しておくか、男の子大好きデュアルCPUのセットを買って「20コアの2CPUで、40コア80スレッドだぜ~」みたいな浪漫なサーバを作ってみるかで迷っています。

それにしてもこのセット、どこからか湧いて出てきた大量の古いCPUとメモリを消費するために新品マザボを生産して売る商売のように見えますが、どこから湧いて来ているんでしょうね? そしていつまで続くのか、興味深いですね。



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