サブで使っているノートPCを買い替えたので、自分の使い方における簡単なレビューです。
購入まで
購入の背景
これまで使っていたXPS 13 (9300)はCore i7-1065G7/16GB RAMで、性能不足になってきたので、買い替えました。また、Windows 11大嫌いな僕ですが、1年後には強制的な乗り換えがやってくるので、メインマシンに先立ってサブをWindows 11にして体を慣らしておこうという狙いもあります。
なお自宅では基本的にメインのデスクトップPCで作業が完結しており、ノートPCは基本的に出社時や外出時に使っています。時期によりますが月に1回くらいしか起動しない時期も多く、そんな用途にまともなPCがいるかと言われたら正直微妙ですが、そこはロマンです。
購入したPCの情報
- ThinkPad Z13 Gen 2
- CPU: Ryzen 7 PRO 7840U
- メモリ: 32 GB LPDDR5X-7500
- SSD: 1TB
- ディスプレイ: 13.3インチOLED (2880 x 1800) マルチタッチパネル
購入時は25.7万程度でしたが、今は1万円くらい値下がりしているようです。
選定の基準
普段ノートPCを選ぶときはこんな感じで選んでいます。
- サブマシンとしてそれなりに使える性能で、かつ最新世代であること
- Core Ultra搭載機を待つ予定でしたが、なかなか発売しないのでしびれを切らして、ほぼ同等性能の7840Uで妥協。8840Uとの差分はNPUのクロックがちょっと上がっただけで興味ないので、実質最新世代です。
- メモリは64GBを条件にすると選択肢が減りすぎるので、32GBとしました。SSDはとりあえず1TBあれば困らない。
- タッチパネルディスプレイで、高解像度であること
- タッチパネルは普段使っているほか、開発中のアプリのテストにも活用するので必須です。
- 13インチでフルHDだと文字が大きすぎて使いづらく、もう一回り高解像度は欲しいです。さらにスケーリング100%では発生しないバグの発見を早めるためにも、普段から125%以上で使いたいので、2880x1800は最低ラインになります。できれば4Kのほうが良かった。
- この条件で、国産メーカーが一気に全部脱落します。Surface Laptopも解像度不足。オプションで4Kタッチを用意して欲しい...
- 持ち運べるサイズであること
- 13~15インチくらいで、1.5kgを切っていると良いです。多少の妥協は可能。
- 見た目や質感が気に入ること
- 変なキー配列(Enterキーの右にHome/Endがあったり、Enterキーやスペースキー周囲のキーが繋がっている場合)は大幅減点。あれはテンションが下がります。ちなみにJISキーボード派です。
- 見た目がダサい場合は減点。テンションが上がる要素がある場合は加点。
- Windows Hello対応のIRカメラと指紋センサーが搭載されていること
以前選んだ例では、回転式2in1試してみたくてSpectre x360を選んだり、見た目がとても気に入ってXPS 13のホワイトモデル(色が重要)を選んだりしました。
今回は、マシンスペックとディスプレイの条件を満たす機種がほぼなかった(時期的にCore Ultra待ちで、まともな機種が少なかった)ので、選択肢がほとんどありませんでした。他に選択肢に入れたのはこのあたりです。先代でデザインが気に入っていたXPSは、XPS 13 Plusが出た頃から酷い迷走(タッチバーを導入したり、3.5mmジャック廃止したり)を始めているので、完全に候補から外れています。
- HP Spectre x360 14-eu
- Core Ultra搭載で発売日が早く、多少重いものの2in1で遊べるなど、ほとんどの条件を満たします。また数年前のモデルで致命的な欠点だったキー配列(Enterの右にキーがある)やタッチパッド(高精度タッチパッド非対応)の問題も解消していて、有力候補でした。ただデザインがあまり好きじゃないんですよね。なんとなくぽっちゃりしていて。せめてネイビーブルーのモデルがあればこれを選んでいた可能性があります。
- ASUS Zenbook 14 OLED UX3405
- 185Hで20万切りと、性能と値段のバランスがすごく良いですね。一部のキーが繋がっているという重大な減点ポイントを除けば、すべての面でThinkPad Z13を上回り、これの価格と発売日が発表されたときはかなり後悔しました。モデル情報は見ていたものの、為替レートや過去の事例から、発売日が6月くらいになったり価格が25万超えると思ってた。もう2週間早く正式発表されていたらこれを買っていたと思います。
- ASUS Zenbook Duo (2024) UX8406
- デュアルディスプレイ、面白くてテンションあがります。自慢できそう。お値段35万も、なんとか狙える絶妙なライン。これも、どうせ日本では発売しないだろうと思っていたのですが、もう少し早く国内正式発表されていたら、こっちを買っていた可能性が高いです。
ThinkPad Z13は、ここ最近会社でThinkPadの故障率が非常に高く品質に疑問を感じていること、ロゴが超ダサいことなどが減点ポイントでしたが、消去法でした。あまりに故障が多く「もうThinkPad買わない」宣言をしてから数ヶ月での華麗な手のひらクルー。品質面については延長保証などでカバーしていこうと思います。
前述の通り多少の後悔はあります。
使用感
性能
メインで使っているデスクトップPCと比較するとこのくらいです。
メインデスクトップ | ThinkPad Z13 Gen 2 | (旧ノート) XPS 13 9300 | |
---|---|---|---|
CPU | Core i9-13900K (24C32T) | Ryzen 7 PRo 7840U (8C16T) | Core i7-1065G7 (4C8T) |
メモリ | 96GB DDR4 | 32GB LPDDR5X | 16GB LPDDR4X |
GPU | GeForce 3060 (12GB) | Radeon 780M (共有メモリ) | Iris Plus Graphics (共有メモリ) |
SSD | 1TB*3 | 1TB | 1TB |
Network | 10GbE+2.5GbE | WiFi 6E | WiFi 6 |
メインデスクトップに勝てる要素はメモリ帯域くらいで、基本性能は3倍くらいの差があります。
使っている感触としては、4Kディスプレイ1枚に出力して普通に作業(Docker起動してVS Codeでコード書いたり、MeetでWeb会議したり)していると、体感で明らかに差は感じるものの、十分実用レベルで使えるなという感じでした。出社時には、これまでWeb会議だけノートPCでやって、作業は別のデスクトップPC(Core i9-9900K)でやっていました。今回、ノートPCの性能が9900Kを超えたことで、作業を1台で完結できるようになったのは普通に便利です。旧ノートではスペック不足でとても無理だったので、一応今回の買い換えの目的は達成できたことになります。
外観や質感
工作精度には不満はありません。全体的にしっかりしていると思います。磁石が入っているのか、蓋を閉じるときの感触はかなり良い感じです。
天板の特徴的な模様は、はっきり言ってダサいと思います。「天板にはバイオベースの亜麻繊維」とのことですが、触り心地はさらさらした普通のプラスチックと同じで、実用上の支障はありません。あまり変なことはしないで普通の素材で普通のデザインにして欲しい。
また、上部にあるこの出っ張りも不格好ですね。蓋を開けやすいという操作性の面でのメリットがあるので、ギリギリ許せますが、マイナスポイントです。
一番許せないのがこのLenovoロゴ。壊滅的なダサさです。シールにしておいてくれれば速攻剥がして捨てたのに!
総じて、デザインという点ではイマイチで、XPS 13の足元にも及びません。ただ質感自体は良いので、所有欲を満たすという意味では及第点だと思います。
サイズ
特に狙ったわけではない(14インチのほうが良かったくらい)のですが、先代のXPS 13とびっくりするほど同じサイズでした。縦も横も厚さもほぼ同じと言って良い。
極めつけは、ディスプレイが開く最大角度まで同じです。パクリすぎでしょう。
ポート類
USB Type-Cが2ポートと3.5mmイヤホンジャックがあるだけ。最低限です。もうちょいちゃんとしろよ、せめてType-Aを1ポートとHDMIくらいさあ、と思いますが、先代のXPS 13と全く同じ構成(厳密にはmicro SDカードスロットが消えていますが使っていなかった)なので慣れてしまいました。
ですが、2つのUSBが左右に分かれているのは良いですね。たまに片方に2ポートあるやつありますが、卓上の配置と合わなくて無駄にストレスが溜まることになります。
なお、XPS 13 Plus以降の新しいモデルはイヤホンジャックが無くなっているので論外です。スマホも3.5mmジャック必須で選定している身としては、PCについてないなんて考えられない。
キーボード
古き良き時代のThinkPadとは比べるべくもない、普通のペナペナキーボードです。配列がかなりまともで、Enterキー周辺などでキーが繋がっていないのが救いです。スペースキーが短すぎる(キー2.5個分じゃなくて3.5個分が好み、REALFORCEのJIS配列基準)のは気になりますが、これはすぐ慣れそうなので許容。Ctrlが左下に移動したのは良いと思います。ファンクションキーが4つごとに隙間空いているのも良いです。
なお、パームレストの端が角ばっていて、手首が少し痛いのはマイナス点です。
キーボードだけで言えばVAIOとか富士通のほうが良いですが、総じてノートPCとしては「平均よりは上」くらい。
気になる点
細かいところが中心です。
タッチパッドの上の方がタップに反応しない
これが一番気になります。
タッチパッドの上の方、ボタンになっている箇所の下2cmほどが、ポンッとタップしても反応しません。カーソル移動や物理的に押し込むクリックは反応するのですが、タップによるクリックだけが反応しないのです。
これの何が嫌って、クリックできないこともなのですが、2本指タップで右クリックをしようとしたときに1本だけこの領域に乗っていると左クリックになったりすることです。大きめのトラックパッドに飼いならされているほど違和感があると思います。
トラックポイントで操作する人は気にならないのでしょうけど、残念ながら10年以上ThinkPadから離れているうちにうまく使えなくなってしまいました。次にThinkPadを買うつもりもないし、体をこれに最適化させる気も起きない。
手前のゴム足が短い
底面についているゴム足が、なぜが手前側は長いタイプではなく隅っこだけに付いているタイプでした。
これだと、机の上にはみ出して置いたときにガタつくんですよね...大きいデスクを置ける広い部屋が欲しい。
OLEDディスプレイの模様が気になる
白一面を表示すると、おそらく開口率やサブピクセル配列の問題(タッチの電極とは違う)で変な模様が見えるのが多少気になります。
XPS 13 4K IPS液晶 | ThinkPad Z13 OLED |
---|---|
ノートPCのディスプレイがOLEDであるメリットは感じられず、液晶なら良かったなと思います。同じ画面長時間表示するから焼付き気になるし、実質解像度落ちるし。
また、最近のモデル(2880x1800のタッチ対応OLED搭載機種)は120Hz対応が増えているのに、このパネルは60Hzでした。スペック表に何も書いてないからワンチャンあるかと思ったのですが、ありませんでした。悲しい。
モダンスタンバイが無効化できない
これは最近(と言ってもそろそろ10年くらい?)のWindows全般なのでThinkPadのせいではありませんが、モダンスタンバイは邪魔です。昔ながらのS3スリープをさせて欲しい。
S3スリープなら、3秒程度で起動し、バッテリも1ヶ月くらい持って何も問題はありませんでした。モダンスタンバイは、
- 復帰が1秒以下になる(人によってメリットがあるのは理解できますが、僕にとっての重要度は低い)
- スタンバイ中のバックグラウンドアプリ動作(いらんでしょう)
をサポートする代わりに、バッテリ消費がべらぼうに増えて、2~3日程度で空になります。バッテリ消費があまりに大きく、油断するとすぐ0%になってしまうので、メーカー各社は「スタンバイが数時間続いたら休止状態にする」という機能を搭載しました。その結果、S3スリープなら3秒でできていた復帰に、20~30秒かかるようになりました。
モダンスタンバイは、日中何度もスタンバイを繰り返し、毎日充電するというライフスタイルでのみ恩恵を受けられる機能です。数日充電せず鞄の中にしまいっぱなしなこともある人には、害悪です。なぜユーザの選択肢を奪って強制してくるのか、MSの判断は理解に苦しみます。
Windows 11はタスクバーが移動できない
これも悪いのはMSです。
世界中で何億回言われているのかわかりませんが、なんで移動できないの。とにかく不便です。僕は左に置きたい。
総評
なんというか、とても普通でした。ディスプレイが劣化(4K→WQHD+)して、あとはほぼ同じ。使い勝手的にはXPS 13とほとんど変わらず、端的に言えば「見た目がちょっとダサくなって性能が3倍になった」マシンです。なので、道具としては普通に良いのですが、やっぱり面白みは無いですね。
PCメーカー各社様には、ぜひとも4KタッチディスプレイをBTOオプションに追加していただきたく思います。ディスプレイのせいで選択肢がすごく狭まってしまっています。
次回は、Snapdragon X EliteのSurfaceが発売したらArmに挑戦してみようかな。